「骨・軟部腫瘍研究基金」創設

骨肉腫の腫瘍マーカー確立へ遺伝子解析
千葉県がんセンター整形外科 岩田慎太郎先生

遺族からの寄付金による研究助成金を贈呈



NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉

贈呈式



 千葉県がんセンターで治療を続けていた雨宮良貴様のご逝去により、ご遺族の方から当NPO法人に1248000円の寄付をいただきました。これをきっかけに平成23年度から「骨・軟部腫瘍研究基金」を創設し、骨肉腫などの基礎・臨床研究にあてていく方針です。
 8月4日に千葉県がんセンター整形外科の岩田慎太郎先生に初年度分の研究助成金の贈呈式を行いました。研究テーマと内容を岩田先生からご紹介いただきます。


 


「骨肉腫におけるバイオマーカーとしてのマイクロRNA発現解析
―採血で薬の効き具合が分かるか?

 千葉県がんセンター整形外科では、毎年3〜4人の小児・青年期骨肉腫の患者さんが治療を受けておられます。骨肉腫は「骨のがん」の一種であり、日本では20歳未満の人口のうち50万人に1人の発生率とされています。これまでに抗がん剤や手術の進歩により骨肉腫の治療成績は飛躍的に上がり、最新の5年生存率は80%に迫るところまできました。しかし抗がん剤が効かない一部の患者さん(薬剤抵抗性)や肺などに病気が遠隔転移している患者さんでは、治療することが難しくなってしまいます。

私たちは、患者さんの血液を調べることで、薬の効き具合の確認や転移の早期発見ができるような腫瘍マーカーの発見に取り組んでまいりました。これまでの研究でその候補となる遺伝子(マイクロRNA)をいくつか見つけています。今後、さらに多くの患者さんからご提供いただいた血液を用いて研究を進め、骨肉腫の腫瘍マーカーを確立し、実際に骨肉腫患者さんの治療に役立てることを目標に引き続き取り組んでまいります。

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