2019.11.4 がんゲノム医療って何?ー第11回千葉県がん患者大集合で講演会

がん遺伝子を調べて、“がんの急所、アキレス腱”を見つける医療

第11回千葉県がん患者大集合は11月4日(日)、千葉市文化センターで開かれました。(当NPO法人共催)今年のテーマは「がんゲノム医療」。耳慣れない言葉ですが、ざっくり説明すると患者さん一人ひとりのがん組織の遺伝子の特徴を調べて、その人の体質や症状に合ったがんに効く薬を探す医療のことです。今回は、国立がん研究センターの遺伝子診療部門の先生方が一般にも分かりやすくお話してくださいました。

遺伝子パネル検査が保険診療に
まだまだ敷居の高さがぬぐえない―時間かかり、高額

国立がんセンター東病院の乳腺・腫瘍内科長の向原徹先生は、「がんゲノム医療の現状」と題して講演しました。がんの標準的な治療方法としては、手術、抗がん剤治療、放射線治療がありますが、がんゲノム医療は、この中の特に抗がん剤治療という薬物療法について、より効果的に投与するための手段だと説明しました。がんの遺伝子を解析するパネル検査を受けると、がんの弱み、急所“アキレス腱”が分かるそうです。そして、その弱みに効く薬、治療を行うことができるとのこと。

向原先生

国立がんセンター東病院の向原徹先生

今年6月には、保険診療でこの遺伝子パネル検査を受けられるようになりました。しかし、課題も多いのが現状です。この遺伝子検査を受けることができる条件が厳しく、お金もかかるとのこと(約56万円。高額療養費制度利用可能)。検査を受けても、必ずしも“がんの急所”が見つかるわけでもないといいます。

がんゲノム医療拠点病院、全国に34カ所

続いて登壇した国立がんセンター先端医療開発センターの土原一哉先生は、「がんゲノム医療の展望」をテーマに、がんゲノム医療を推進するための制度的、組織的な取り組みについて講演しました。がんゲノム医療拠点病院を全国で34カ所指定して、患者さんに遺伝子パネル検査などを受ける機会を増やすと同時に、遺伝カウンセリングなどを行う人材の育成も積極的に進めているとのことでした。

土原先生

国立がん研究センターの土原一哉先生

遺伝子パネル検査、ゲノム医療を活用して治療をするのが適しているがん種も分かってきており、乳がんやメラノーマなどが有効とされているようです。現在は、固形がんで検査が可能で、血液のがんやリンパ腫は対象外とのことでした。まだまだ、がんゲノム医療は受けやすい検査、治療とは言えませんが、がん種による画一的な治療ではなく、一人ひとりの体質、がんの様相に沿った“オーダーメイド”の治療を行うことで、治療の効果が上がることは期待できそうです。

パネルディス

講演の後、あらかじめ寄せられた質問を取り上げたパネルディスカッションも行われました。参加者からは、「ゲノム医療を受けたい場合は主治医にどうアプローチしたらよいか」「どの程度進行したがんまで対応可能なのか」「ゲノム医療と分子標的薬の違いは?」-などの質問が寄せられました。二人の講師が丁寧に回答し、患者さん側から、遺伝子パネル検査の対象となるかどうか主治医に質問することは大いに可能であること、標準治療の終了が見込まれた段階でゲノム医療に切り替えていくのが良いタイミングであることなどが分かりました。