令和2年春の風景-価値観の変わりように身を置く

新型コロナウイルスの感染拡大で、感染した患者さんの受け入れをしている病院もそうでない病院でも緊張感に包まれた毎日が続いています。各病院や高齢者の施設などでは、入院患者さんとご家族の面会が制限され、医療・介護スタッフも事務スタッフも感染あるいは自分が感染させてしまうかもしれないという不安を抱きながらも、最善のリスク対策を尽くして日々の業務を粛々と進めているというのが現状です。

3カ月ほど前に、このような状況に陥ると誰が想像できたでしょうか。平和で変わらない日常が続くのが当たり前だと思っていたはずです。

当NPO法人でも、年度初めの理事会の会合を中止し、役員の皆様による書面決議を行う方法に切り替えました。予定していた企画や活動の再検討も進めています。

写真は、当法人のサテライトオフィスがある千葉県がんセンターの春の様子です。

いとおしく思う春の風景

予定していた行事や楽しみをとりあえず延期したり、キャンセルしたりという小さな対策ではとうてい収まらないことに気づいた頃には、あっという間に感染が拡大。世界中で生活が変わり、社会が変わり、考え方や価値観が大きく変わっていました。

そして、緊急事態宣言が世界中のあちこち、そして日本列島を飲み込んでいきました。人との交流を遮断し、自粛ムードやステイホームで身も心も内向きに据えられた日々を送っている今、ふと外を眺めると、そこにはいつもと変わらない春の風景がありました。当たり前に眺めていた景色が、こんなにもいとおしく思えた気持ちを残しておきたいと思いました。

この状況下で、命を守る仕事や活動に対して感謝の気持ちを感じたり、学校や職場に行きやるべきことをこなしたり、創意工夫したり、健康で自由な生活を送ることがどれだけありがたいことかを改めて考えた方も多いと思います。

こんなにも狭い世界に気づく

そして、感染拡大のスピード感に驚き、世界がこんなにも狭いのだということにも気づかされました。通信、ネット環境が進んでいる中で、さらに世界との距離感を近く感じます。同じ状況、同じ不安を世界中で共有している、こんなことは未だかつてないことです。人々や医療現場が混乱していたり、悲惨な状況に陥っている映像を見れば、どこの国や地域であっても心が痛み、「頑張って」とエールを送りたくなる。この気持ちがあれば、パンデミックを乗り越えた先には、医療、経済といった課題のみならず、様々な分野でもっと親身に、もっと本気で連携、協力し合える社会が待っているかもしれません。

この価値観やものの考え方の変わりように身を置き、これからの私たちの活動の在り方もていねいに検討していきたいと思います。