【Dr.竜の診察ノート】新型コロナウイルス感染の予防を徹底しようー日本のコロナ対策と課題

緊急事態宣言解除
お辞儀、靴を脱ぐ習慣、そして互いに支え合う国民性が味方に…

緊急事態宣言が5月25日に解除された。オリンピック開催の邪念のおかげで宣言が遅れ、経済的打撃が倍加した中での緊急事態宣言だった。宣言時、一週間に3600人もの新規感染者だったが、直近では209人に下がっての解除である。PCR検査せずに、国民へのお願いだけで、解除できたことを世界は不思議がっている。海外メディアは、握手でなくお辞儀、家の中で靴を脱ぐ習慣を指摘したが、互いに支え合う穏やかな国民性も関係していると思われる。

靴を脱ぐ習慣

現在日本で流行している新型コロナウイルスは、遺伝子検査の結果から2月末の時点で、オリジナルの中国由来からヨーロッパ流行の変異株に代わったと見られる。ヨーロッパ旅行の帰国者から持ち込まれたウイルスで感染が広がった可能性が高い。筆者が3月1日、ウズベキスタンから帰国した際、成田空港での検疫は機能していなかった。

アジアの死亡者が圧倒的に少ない―結核予防BCGが関与か

日本では死亡者が少ないとされ、5月31日時点で1万6851人の感染で891人の死亡である。Wikipediaによる同時期の感染者と死亡者は、アメリカは170万9318人で死亡9万5200人、フランス8万6745人で死亡1万4039人、中国8万2836人感染で死亡4633人、韓国1万1344で死亡269人だ。5月18日時点での人口100万人あたりの死亡者はアメリカ272(6%)、フランス432(19.7%)、中国3(5.2%)、韓国5(2.3%)、日本6(4.7%)だ。

日本、悪化するまで対症療法のみ…見直す必要あり

死亡者がアジアは圧倒的に少ないが、結核予防のBCGが関与している可能性が指摘されている。日本はコロナ感染対策が優れていたのではない。人口100万人あたりの死亡率は4.7%であり、韓国の2.3%に劣っており、中国の5.2%と差がない。死亡者を減らすため、酸素飽和度SPO2が94%になるまで解熱剤の対症療法のみ、それより悪化してからレムデシビルやアビガンを用いるという現在の指針を見直す必要がある。

人工呼吸器

※「Dr.竜の診察ノート」は、NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉の竜崇正理事長が浦安市の市民新聞「うらやす情報」に寄稿したものを、発行後に編集して掲載しています。