【動画で音楽療法】御宿町・大波月を空中散歩。空と海と夕陽…雄大な自然とのつながりを感じる時間

ドローンの空撮で、千葉の美しい海の風景を再発見
おなじみの曲をやさしいピアノの音色で

例年になく暑い日が続いております。マスクも外すことができず、気を遣うことの多い夏です。同法人では、動画で音楽療法と題して千葉県がんセンターの音楽療法士・長島律子さんのピアノ演奏などをお届けしております。今回は、スペシャル企画として、ドローンで撮影された空からの美しい映像とともに楽しんでいただきたいと思います。最先端の撮影技術とピアノのコラボレーション。ぜひお楽しみください。

ドローン撮影の舞台は、千葉県御宿町の大波月(おおはづき)海岸です。いすみから勝浦に向かう途中にある100mほどの短い海岸で、知る人ぞ知る絶景スポットですが、空から眺めたことがある方は少ないのではないでしょうか。どこまでも広がる空と太平洋からロウソク岩として知られる岩礁に迫るカメラワークは、自分も鳥になって羽ばたいているような、自由で勇壮な気持ちになります。長島さんのピアノの選曲と映像のぴたりと合った呼吸も注目です。まずは、動画をご覧ください。

この記事の後半で、今回ドローン空撮の映像を提供していただいた市原市在住のカメラマン・武田秀樹さんからのメッセージをご紹介します。

打ち寄せる波の白い波頭、深い海の色と入り組んだ海岸線の優美さ。そして、夕陽のやさしいオレンジに包まれた空の色は、今日一日の感謝の気持ちとともに明日への英気を養ってくれます。

「上を向きなよ!」愛娘の言葉で始めたドローン撮影
空を見上げ、旅立った娘と対話する大切な時間に

今回、千葉県がんセンターのご縁でつながりができ、ドローンの映像をご提供くださった武田秀樹さん。
あまりにも美しい景色映像に、スタッフ一同ため息をもらしながら何度も拝見しました。映像からは、武田さんのセンスや技術だけでなく、深い想いや情熱が伝わってきて、撮影のエピソードなどをどうしてもお聞きしたいと思いました。武田さんからメッセージをいただきましたので、ご紹介します。


私がドローン空撮に本腰を入れたのは2019年の2月です。
そのきっかけは、2017年6月から2019年2月まで、千葉県がんセンターにお世話になった愛娘の影響が全てです。手術と放射線治療、抗がん剤治療を受けたのですが、若い人の癌の進行は早く、最後はがんセンターから天国へと旅立って行きました。

治療中のことです。
娘と一緒に診察待ちなどで並んで座っている時に、どうしても下を向いて座っている私に
『なんで下を向いているの?上を向きなよ!』って声を掛けてくれました。私以上に遥かに辛いはずなのに…。

娘が天国に旅立った後、どうしても下を向いてしまう自分が嫌でした。
「どうしたら上を向けるんだろう?」と考え、たどり着いたのがドローンでした。
『ドローンを飛ばせば天国にいる娘に逢える!』
そんな思いでひたすら、ひたすら飛ばしていました。

今回の映像提供のことで、お声を掛けて頂いたのは、偶然ではなく必然なんだろうなと思い、喜んで動画を提供させて頂く事にしました。

雨と風、光をよみ、安全に飛ばす

ドローンは飛ばせる所が限られていて、どこでも簡単に飛ばせる訳では有りません。市街地は全滅で、河川敷すら許可が降りない所がほとんどです。幸い千葉県には海が多く、外房の海は許可も降りやすく、何箇所か飛ばせるフィールドを見つけることが出来ました。今回の動画の『大波月』もその一つで、行きにくい場所なので、人も少なく安心して飛ばせるお気に入りのフィールドです。

撮影している場所は水辺に近いところで、よく見ると動画に映り込んでいますが、雄大な自然の前ではとても小さな存在です。この時は専用のコントローラにipadを繋いで、機体とモニターを見ながら撮影しています。千葉の海も、空から見ると想像しているよりも綺麗で、毎回心が躍ります。海に立つロウソク岩も、この場所を象徴する景色の中ではとても重要な存在なのですが、太平洋の荒波や、大雨、地震の影響で行くたびにどこかしら地形が変化していて、何十年後か、もしくはもっと早くになのか、見ることが出来なくなってしまうかもしれません。

ドローンの最大の敵は、雨と風です。ほとんどのドローンは防水性能は有しておらず、少しの雨でもとても危険です。また、どんなに天気が良くても風が強い日は墜落の危険が有りますので、体感と風速計を使って確認をする事も重要です。そしてもう一つ、鳥もとても危険な存在です。猛禽類(トンビなど)は縄張りに入る事で攻撃してきます。カラスやカモメなどは、興味を持ってチョッカイを出しに来ます。

撮影にあたっては、太陽の存在がとても重要で、日出、日の入りがドラマチックでとても絵になります。私の職業がカメラマンなので、光を読むことには自信があります。

はじめは、娘に逢うためだけに飛ばしていたドローンですが、今では、この瞬間の風景を娘に自慢出来る映像になるように飛ばしている自分がいます。フライトを終えて家に帰ると、真っ先に娘に今日見た景色を報告しています。


武田さん、心温まるメッセージをありがとうございました。娘さんからのメッセージ、「上を向こうよ!」は…今、新型コロナと向き合う私たちにとっても力強いエネルギーとなりますね。

今回、武田さんからの映像をもとに、音楽療法士の長島さんのピアノ演奏の録音を選曲。麻生裕康さん(当法人常任理事)が、編集を手掛けてくださいました。ご支援、ご協力ありがとうございました。