【ケアフード】千葉県がんセンターのレシピ集「がん患者さんのためのレシピと工夫」第二弾が発刊-がん治療中の食事を提案

患者さんの「食べたい」思いに応えるレシピ集
手術後、化学療法、放射線治療中…治療と症状に合わせたメニュー
おいしい流動食も
千葉県がんセンターが発刊

がん治療中の患者さんにとって、食事はいろいろな意味で大きな関心事となります。「なにを食べればいいの?」「食べていいもの、悪いものは?」「どのくらい食べればいいか」「食べたくない時はどうしたらいいか」…。一日三度の食事にまつわる悩みは尽きることはありません。そんな患者さん、ご家族の疑問や悩みにこたえる一冊が発刊されました。「がん患者さんのためのレシピと工夫 vol.2」(2021年3月発行)です。千葉県がんセンターの栄養サポートチームが中心となって執筆・編集しました。NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉も執筆に協力しています。

今回は、8年前の2013年に発刊した「がん患者さんのためのレシピと工夫」の改訂版として、改めて書き直したものです。

この本の特徴は、がん患者さんからの声をもとに作成されていることです。入院中や通院の患者さんからの相談を受け付けているがん相談支援センターには、食事に関する質問もたくさん寄せられます。患者さんからは、「(薬の副作用などの影響で)何を食べてもおいしく感じられない」「味覚が変わった」「手術後は、食事が苦痛になってしまった」など、食事そのものを楽しめなくなったことへの切実な不安や悩みも多いようです。ご家族からは「何を準備しても食べてくれない」「勧めると叱られる」などの声があるようです。中には、科学的根拠のない食事療法をしたいとの相談もあるようです。

レシピ集では、医師、管理栄養士が専門知識と病院での実践をもとに、患者さんの療養生活を心身共に支え、栄養的にもバランスの取れた食事の提案をしています。味覚変化のある時、吐き気や食欲不振がある時、便秘が続く時、口腔内の乾燥がある時、胃や腸の手術後などに分けて、食べやすく、味も感じられるメニューを具体的に示しています。スーパーマーケットでも入手しやすい材料を使って、あまり手間をかけずにできる作り方が示されています。エネルギーやたんぱく質の量などのカロリー表示もされています。

食材をミキサーにかけてすりつぶした形状のなめらか食や流動食についても掲載しています。流動食は、どうしても色や見た目で食欲を減退させてしまうことの多い食べ方ですが、器や色どり、盛り付けの仕方で食欲を損なわず、おいしく感じられる工夫が提案されています。

当NPO法人の取り組み「ケアフード」も紹介

当NPO法人が取り組んでいる「ケアフード」についても、紹介しています。千葉県がんセンターでの試食会の様子や、東京ステーションホテルの石原雅弘総料理長、フレンチレストラン「シェケン」の山口賢シェフの協力を得て開発した食べやすく美味しいケアフードの取り組みやメニューなどを記載しています。

千葉県がんセンター売店などで販売 一冊500円

レシピ集「がん患者さんのためのレシピと工夫」の編集を進めた千葉県がんセンター食道・胃腸外科部長で栄養サポートチーム(NST)チェアマンの鍋谷圭宏先生は、「がん患者さんへの栄養療法は、まず口から食べることが一番。患者さんの食べたいという気持ちに応えられるよう支えていきたい」と語っています。

レシピ集は、千葉県がんセンター2階の売店(セブン・イレブン)で、一冊500円で販売しています。ぜひお手に取ってみてください。