これなら食べられる!

患者さんと家族、ピューレ3品に舌鼓
「がん治療と食事」考えるきっかけに


石原シェフとNPO、300食を提供
千葉県がん患者大集合2010で


ケアフード試食会
 
  NPO法人・医療福祉ネットワーク千葉は、9月5日に千葉市で開かれたがん患者大集合2010で、フランス料理の手法を使った流動食「ケアフード」の試食会を開き、考案者の石原雅弘シェフとともに300食のピューレを患者さんやご家族に提供しました。患者さんからは味や飲み込みやすさについての感想や作り方をたずねる声のほか、試食品を囲んで友人同士や家族で毎日の食事の悩みや工夫について話しこむ姿も見られ、がん治療中の食事の改善に向けて患者さんや家族が考えていくきっかけとなりました。
 〜試食メニュはニンジン、ゴボウ、豚肉のエスニック風煮込み〜
 試食品3品ピューレ   試食メニューはニンジン、ゴボウ、豚肉のエスニック風煮込みのピューレ3品。肉や野菜の味を生かしたのが特徴で、今回は味付けもしょうゆやかつおだしなどの和風あじも取り入れました。石原シェフ(ホテルメトロポリタンエドモント・フレンチレストラン「フォーグレイン」料理長)が、その場で温めたピューレを盛り付けて、患者さんに飲み込みやすい食事の作り方や工夫について説明しました。患者さんからは「これなら食べられるね」「お肉もおいしく感じられた」などの感想が寄せられました。一方、「お肉の味が濃く感じる」との指摘や、嚥下が困難な患者さんからは「もっとトロトロの状態で食べたい」などの注文もつきました。

 〜症状別、治療の種類別に食事の悩みはさまざま〜
試食する参加者

説明する石原シェフ
 患者さんもがんの部位や使っている抗がん剤の種類などによって食事の悩みはさまざまです。試食会では、普段は我慢している食事の苦労について患者さん同士や家族で話合う姿がよく見られました。抗がん剤投与中の方からは「何を食べても味がしない」「食欲がない」という悩み、また放射線治療を経験した喉頭がんの患者さんからは「かたまりは飲み込みにくい」「肉類が食べにくくほとんど口にしていない」と食べたいものも制限せざるを得ない辛さを訴える意見も聞かれました。家族からは「(患者さんが)食べたいものを食べられるようにしているが、検査のデータが悪く何か手立てがないものか」というジレンマの声もあり、バランスのいい食事を患者さんの状態、食欲に合わせて摂取できる手法の提案が望まれていることも分かりました。

      〜友人と一緒にレストランで食事がしたい〜

 また、がん治療中の友人を持つ女性の参加者からは「一緒にレストランで食事をしたいが、外食では(患者さんが)食べられるものが少なく誘いづらい」「また一緒にテーブルを囲んで楽しい時間を過ごせたらいいのに」という要望も寄せられました。

 ケアフードの研究に取り組む石原シェフは「食感や飲み込みについて患者さんから直接意見を聞くいい機会になった。調理をさらに工夫してみたい」と話しました。

  NPO法人・医療福祉ネットワーク千葉では、今回の試食に合わせてアンケートを実施し、患者さん、家族、医療関係者などから、ご病気の内容、受けている治療の種類別に食欲の有無や食事にかかわる悩み、食べたい食材などについて聞きました。アンケート結果をもとにがん治療中でもケアフードを活用しながら食事をおいしく食べられる工夫について研究していきます。回答いただきました皆様、ご協力ありがとうございました。
        
      試食レシピボタン 試食で提供したレシピは、このホームページの「石原シェフのケアフード料理講座」でも
        紹介します。ほかにも簡単に作れる食べやすい流動食レシピが掲載されていますので
        のぞいてみてください