「久しぶりに食べられました。」
 「どんどん口に入ります。


患者さんと家族、シャーベット3品に舌鼓
治療しながらも「おいしい食事」を楽しむ


石原シェフとNPO、ケアフード350食を提供
千葉県がんセンターで試食会
 
  NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉は7月28日、千葉県がんセンター1階ふれあい広場でフランス料理の手法を使った食べやすい「ケアフード」の試食会を開き、考案者の石原雅弘シェフとともに350食を患者さんやご家族に提供しました。今回は、真夏の試食会ということもあり、野菜やフルーツのシャーベットとして提案。入院患者さんからは「久しぶりに食べられました」「自分がこんなに食べられるとは思わなかった」との言葉も聞かれ、食欲などが落ちやすいがん治療中でも食べることを楽しむきっかけとなりました。

トマト、ニンジン、パイナップルのシャーベット3品
 
↑試食で提供されたシャーベット
パイナップル(上)、トマト(右)、
ニンジン(左下)
  試食メニューはニンジン、トマト、パイナップルのシャーベット3品。トマトやニンジンは素材の香りを生かしながらも、まろやかな味に仕上がっており、味覚に敏感な患者さんでも食べやすい工夫が施されました。ニンジンにはオレンジやマンゴーで香りをつけ、風味も豊かに。試食会で一番人気だったパイナップルはほどよい甘さで、一緒に盛り付けたトマトやニンジンのシャーベットと混ぜながら食べるとまた別の楽しみ方ができる逸品でした。

 石原シェフ(ホテルメトロポリタンエドモント・フレンチレストラン「フォーグレイン」料理長)が、目の前でハンドミキサーを回しながら、冷たいシャーベットを患者さんが食べやすい口当たりになるように少し緩めに溶かしながら提供しました。


 口内炎、吐き気、飲み込みにくい、味覚障害・・・食事の悩みさまざま



↑試食会に先だって開かれた患者サロン。
石原シェフがケアフード考案のきっかけ
などを話しました。
 今回は、県がんセンター内での試食会とあり、入院中の方、抗がん剤や放射線などの治療中の方、緩和ケアを受けている方、治療後で通常生活をしている方など様々な状態の患者さんが参加。患者さんからは、治療を始めてから口内炎が痛い、唾液が出にくい、吐き気、味がしない、飲み込みにくい、食欲がないなどの症状に悩まされたとの悩みも寄せられました。在宅生活に戻っている方からは、食事は自分で作ったり家族が作ったものを食べているが、「もっとおいしい食事がしたい」という思いをいつも持っているとの声も上がりました。
 
 
↑シャーベットの準備をする
石原シェフ
   また、患者さんを支える家族からは「自分の作ったもので(患者さんが)満足してもらえない」「調理の工夫の仕方が分からない」などの悩みが上がり、直接、石原シェフにレシピを聞く姿も見られました。ケアフードについても「いつでも手に入るようにしてほしい」「この調理法でいろいろなものを作ってあげたい」と高い関心が寄せられました。 
 患者サロンのメンバー、がん体験者として試食を通じて悩み聞く

 今回は、千葉県がんセンターで毎月開催している「患者サロン」の世話人や参加メンバーが試食会の提供スタッフとして関わりました。がん治療の経験者として思いを分かち合える立場(ピア)で、会場に立ち寄った患者さんに話かけ、食事の悩みなどを聞きとる様子も見られました。患者さんからは「同じがんを患ったことがある方と食事の話ができて少し楽になりました」などの感想も聞かれました。

 NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉では、この日、患者さん、家族、医療関係アンケートを実施。ケアフードの感想のほか、現在の治療内容と症状、日々の食事メニュー、食生活のスタイルなどにも踏み込んで調査しました。アンケート結果をもとにがん治療中でもケアフードを活用しながら食事をおいしく食べられる工夫、どのような食材が食べやすいかなどについて調査研究します。回答いただきました皆様ご協力ありがとうございました。

        
     試食で提供したレシピなどは、このホームページの「石原シェフのケアフード料理講座」でも
     公開しています。ほかにも簡単に作れる食べやすいメニューが掲載されていますのでのぞ
     いてみてください。