【Dr.竜の診察ノート】オミクロン株とデルタ株の特徴を持つ新たな変異株の特徴

オミクロン株
感染力は強いが59歳以下で致死率は0.03%、39歳以下はゼロ
60歳以下は通常のインフルエンザ並みに扱い、80歳以上で重症化に注意を
年代に応じた対策が必要

オミクロン株の特徴は、肺胞に到達しにくいことだ。コロナウイルスは細胞表面のACE2レセプターに結合した後、細胞のタンパク分解酵素TMPRSS2に作用して細胞内に侵入する。この酵素は肺胞上⽪に豊富だが、オミクロン株はこの酵素と結合できない特徴があり、肺炎にならないので重症化しにくい。

しかし、上気道ではオミクロン株が増えるため、⾶沫、エアロゾルとして飛散し、感染⼒は強くなっている。オミクロンはデルタよりも3.2倍感染しやすいと、イギリスからの報告がある。オミクロン感染による重症者者の85%は60歳以上だ。オミクロンの致死率は、京都大学の⻄浦によると、60歳から上昇し80歳以上では3.5%である。⼀⽅、59歳以下は0.03%、特に39歳以下はゼロだった。致死率はインフルエンザよりも低い。今後は、60歳以下はインフルエンザ並みに扱い、80歳以上は、重症化に注意して対処すべきだ。ワクチンは、デルタ株に対して25週以上も抗体価は保たれたが、オミクロンでは10%程度に低下した。この事実が3回⽬の接種(ブースター)が必要の根拠となった。

ワクチンのブースター接種
抗体価下がっても、死亡予防効果は高いまま

抗体価はブースター1週後で、デルタで90%、オミクロンで65%まで回復するが、15週間でブースター前とほぼ同じレベルに低下する。抗体価が下がっても死亡予防効果は高い。ブースター接種後2週間以上で死亡抑制効果は95%とのイギリスの報告がある。

肺で増えるデルタ株の特徴を持つ新しい変異株BA.2.12.1
ニューヨークで感染拡大傾向

オミクロンは⾼齢者を狙い撃ちにするので第6波(オミクロン感染)では、家庭内感染が問題だった。⼦供が保育園などで感染して、家庭で祖⽗⺟に感染する。国⽴感染研によると、家庭内感染率は31%から45%もあった。家庭内感染が解決しない中、肺で増えるデルタ株の特徴も有する新しい変異株BA.2.12.1がニューヨークなどで感染を広げており、日本でも渡航歴のない人への感染が確認されている。感染防御を徹底しよう。

※「Dr.竜の診察ノート」は、NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉の竜崇正理事長が、浦安市の市民新聞「うらやす情報」に寄稿したものを発行後に編集して掲載しています。