【市民公開講座】2009.1.31 第1回市民公開講座を開催。「あなたのがん医療を考える、探す、選ぶ」テーマにがん医療を大いに語る。診療拠点病院の取り組みを紹介

2009年1月31日 第1回市民公開講座を開催
「あなたのがん医療を考える、探す、選ぶ」
がんの早期から予防、死亡を減らす
がん診療連携拠点病院の役割を分かりやすく紹介
主催:NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉

NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉主催の第1回市民公開講座が2009年1月31日、千葉市内で開かれ、がん診療拠点病院の医師が各病院で取り組んでいる最新のがん医療について紹介しました。がん治療センターの解説や、緩和ケアチームの編成、相談スタッフの増員など治療から心のケアまで患者さんへのきめ細かい対応ができるよう工夫を凝らしていることが説明されました。

「あなたのがん医療を考える、探す、選ぶ」をテーマに開かれた公開講座には、がん患者さんや医療関係者約100人が参加。千葉県内のがん医療の“推進役”となる13の拠点病院が指定されたことを受けて、それぞれにどのようながん医療を提供しているのかを知ってもらおうと企画されました。

第1回市民公開講座チラシ(PDF)

千葉県がんセンター、順天堂大学浦安、国保君津中央、亀田総合の4拠点病院が報告

千葉県がんセンター(千葉市)の竜崇正センター長が内視鏡治療や乳がん、前立腺がんの治療実績などを紹介。千葉県がんセンターでは、「心と体にやさしいがん医療の提供」をテーマにしていることから、手術による切除など患者の体への負担が少ない低侵襲治療について取り上げました。この中で、内視鏡治療や放射線治療、カテーテル治療、ラジオ波熱凝固治療などのメリット、有効性も説明しました。「がん検診で早期発見できれば、あらゆる低侵襲治療を使って治すことができる。治せるがんを確実に治すことが大切だ」と強調しました。

続いて、順天堂大浦安病院(浦安市)の木所昭夫教授が昨年5月に新設した「がん治療センター」を取り上げて、これまで各診療科の処置室で行ってきた抗がん剤治療をセンター内の外来化学療法室に集約し、患者さんが落ち着いた環境で投薬を受けられるようにしたと説明しました。

国保君津中央病院(木更津市)の柴光年副院長は患者さんの苦痛を癒す目的で、緩和医療かで動物を使ったアニマルセラピーを進めている事例を紹介しました。県内最南端にある亀田総合病院(鴨川市)の亀田信介院長は患者さんや家族が積極的に治療に参加できるように入院用の個室に患者さんが自分のカルテを見ながら意見を書き込むモニターを設置したことや、集中治療室などを含めて家族が自由に患者さんに面会できるサポーター制度を導入していることを強調しました。

 

意見交換会では、参加者から「がん拠点病院とそれ以外の病院の治療レベルの格差を埋めてほしい」「検診を確実に受けられるような制度を整えてほしい」「がん予防対策にも力を入れてほしい」などの要望が寄せられました。

このほか、「患者参加のがん対策」をテーマに、山崎晋一朗・県健康づくり支援課長が講演しました。県内の死亡者のうち、がんが原因の3割と最も多く、年々増えている実態を提示しました。がんの部位別では胃がんが減っているのに対し、肺がん、乳がんが増えていると説明しました。千葉県では2008昨年3月、「がん対策推進計画」を策定し、75歳以上のがん死者の20%減、がん検診の受診率50%以上を目標として設定。13のがん診療連携拠点病院で診療や検診、相談事業に取り組んだり、「千葉県がん患者大集合」などの予防イベントの開催もスタートさせたことが報告されました。

この日の市民公開講座の様子は、2月1日付の千葉日報にも取り上げれました。


NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉では今後も定期的に市民公開講座を開き、患者さんへのがん医療の情報提供を進めるとともに、病院間の連携を密にしていく試みに力を入れていくことにしています。