【連載・チーバくんのがん情報局】③がん拠点病院ではどんな治療やケアが受けられるの? どの病院でも質の高い一貫した治療を実践

がん対策基本法施行記念
連載・チーバくんのがん情報局
③がん拠点病院ではどんな治療やケアが受けられるの?

質の高い一貫したがん治療

チーバくん:その、がん診療連携拠点病院では、何か特別な治療でも受けられるの?

よもやま博士:がん診療連携拠点病院では、手術、放射線治療、抗がん剤治療といった三大療法を中心に専門的な治療を受けられるのじゃよ。病院内では、医師や看護師、薬剤師はもちろんのこと診療科を超えて専門のスタッフが集まり、チームを組んで患者さん一人ひとりの病状や体質に合った治療プログラムを検討するだよ。

「がん緩和ケア」という考え方

チーバくん:患者さんんことを一番に考えてくれるんだね。そうはいっても、がん治療は患者さんにとっても家族にとっても、つらいことには変わりはないと思うよ…。

よもやま博士:確かに、がんは一昼夜で治る病気ではない。病気を抱えながらの生活はとても大変なことじゃ。そこで、がん拠点病院では、がんそのものの治療に限らず患者さんの「つらさ」からくる体の不調や痛み、ストレスを少しでも軽くする「緩和ケア」を受けることもできるのだよ。

入院中のケアはもちろんだが、患者さんが退院して自宅に帰ってからの療養生活中も緩和ケアを受けられるように近くの診療所、かかりつけ医が痛みや精神的なストレスを軽くするための薬の投与、心のケアにあたってくれるのだよ。がん拠点病院は緩和ケアの専門的な知識やスキルを持った医師や看護師を育てる役割もある。そして、地域の医師や医療機関との日頃からの連携も大事な仕事として進めているのだよ。

チーバくん:病気になるとちょっとした痛みが気になったり、気分的にも落ち込むことも多いからね。自宅に帰った後も、身近なところでこうしたケアが受け続けられるというのは心強いね。

病院内に患者相談支援センター、治療以外のことも相談できる

よもやま博士:さらに、拠点病院には治療のこと、治療費のこと、仕事や家族のことなど心配ごとを気軽に打ち明けられる相談センターもあるよ。必ず設けることなっているんだ。専門の看護師やソーシャルワーカーが配置されていて、丁寧に話を聞いてくれるよ。ほかにも、がんを患ったことのある経験者の方もいて、患者さんと同じ立場で寄り添って話を聞いてくれるんじゃよ。

チーバくん:そうなんだね。患者さんが安心して治療が続けられるようにと、サポートできる体制を整えているんだね。

治療方法や効果を共有できる「がん登録」も

よもやま博士:最後にもう一つ、がん拠点病院には大事な役割があるんだ。がん診療連携拠点病院という名前をつけるからには、拠点病院同士、それから拠点病院と地域の診療所や病院が「連携する」という狙いがある。これまで病院同士が、治療やその効果について情報交換するようなことはほとんどなかった。つまり、患者さんからすると、どこの病院で治療を受けるかで、治療内容も質も違ったということだ。

チーバくん:それって、病院選びもある意味「賭け」みたいな感覚だね。

よもやま博士:そうじゃな。誰もが、どこに住んでいても同じ治療を受けられるようにするには、どこの病院がどんな治療をしているか知る必要がある。そのために患者さんの病状や治療、その効果をまとめて公開できるようにする「がん登録」という仕組みを整えていくんだよ。これもがん拠点病院の大事な仕事なのだよ。

チーバくん:がん診療連携拠点病院。ずいぶんいろんなことをやっているんだね。患者さんが安心してがんと向き合えるように、拠点病院には頑張ってほしい!ますます興味がわいてきたな。

よもやま博士:チーバくん。これでがん拠点病院のことは少しは理解できたかね?もう一つ加えて話しておきたいことがある。がん医療推進のための指針となる「がん対策推進計画」についてじゃ。

チーバくん:推進計画?また難しい話かなぁ。

よもやま博士:そう言わないで。これからのがん医療を考える大事な柱となる「虎の巻」のようなものだから、ぜひチーバくんには伝えておきたいのじゃ。