【連載・チーバくんのがん情報局】④がん医療推進の“虎の巻”、千葉県がん対策推進計画って何？

がん対策基本法制定記念
連載・チーバくんのがん情報局
④がん医療推進の“虎の巻”
千葉県がん対策推進計画「ちからを合わせてがんにうち克つちば」

よもやま博士：がん対策推進計画は、がん対策基本法に基づいて国や都道府県が作成しているものなんだよ。国がまず、推進計画を作って、それに沿って都道府県が計画を作る―という行政には良くあるパターンでの計画作りではあるのじゃが、そこには、今後がん医療をどう発展させ、患者さんに最新の最も良い治療を提供していくかという方針、方法が書かれている。この推進計画に沿って、県も各がん診療連携拠点病院も、地域のクリニックも協力してがん医療を進めていくことになるんだ。どんなことに力を入れるか、もっと端的に言うと、どんなことの重点的に予算をつけたり、人員を配置したり増やしたりして取り組んで行くかが分かるということでもある。

チーバくん：ふーん。千葉県も作ったの？

よもやま博士：もちろんじゃ。2008年3月に2008年度～2012年度までの5年間に取り組むこと、実現させたいことが盛り込まれている。千葉県のがん対策推進計画の冊子は、90ページもあるけれども、オールカラーで写真や図もたくさん使って、なかなか読み応えのある内容に仕上がっておるぞ。

チーバくん：どんなことが書かれているの？

よもやま博士：まずは、基本理念じゃ。千葉県ががん対策について掲げる基本理念は「ちからを合わせてがんにうち克つちば」。“ちからを合わせて”には、医療者だけでなく、介護従事者やピアカウンセラー、患者会、ボランティアの人たちなど地域で支える方達も含まれているよ。

そして、次は目標だ。県民が、がん予防と早期発見に努め、質の高い医療の提供によってがん死亡率を減らすこと、がんの相談体制の充実、患者さんと家族を支えるきめ細やかな支援を進めることといった大きな目標と、具体的数値目標も書かれている。

がんによる75歳未満死亡率を20％減らす

よもやま博士：まず何といっても死亡率を下げることだ。がんによる75歳未満の人の死亡率を今より20％減らす（2017年度末までに）ことを目標にしている。死亡率を下げるには、予防や早期発見の目標も立てる必要があるね。チーバくんはどんなことに気を付けるとがん予防になると思う？

チーバくん：うーん、なんだろう。煙草を吸うのは良くないことは分かるけれど、あとは…お酒もあまり良くないのかな。ストレスをためないとか？

よもやま博士：そうだね。喫煙する人の割合を減らす、これはかなり大事だね。今千葉県で男性の喫煙率は34.8％、女性で10.8％なんだ。これを5年後までに男性26％、女性6％以下にすると書かれている。未成年の喫煙はゼロにする。ほかには、食塩の摂取量を減らす、野菜やフルーツを食べるようにするということも具体的な数値で目標を記しているよ。

あとは、早期発見のためのがん検診受診率のアップだね。今、がん検診を受けている人はどのくらいいると思う？

チーバくん：80％くらいいるんじゃない？

がん検診受診率、50％を目指す

よもやま博士：それくらい検診受けていたらいいのじゃが…。実際は、半分も受けていないんだよ。胃がんで39％、肺がん45％、乳がんは36％程度じゃ。検診を受けていれば、もしがんが見つかっても早く治療を始めることができて、治ることも多いがんもある。特に、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮がん。でも、半分も検診受けていないんだよ。

チーバくん：万が一がんだったとしても、早く見つかれば、早く治すことができるのにね。

よもやま博士：そうなんじゃ。県民にがん検診、がん予防の重要性を伝えることも大事だし、検診を受けやすい体制を整える必要もある。そういった意味を込めて、推進計画では5年後までに検診受診率50％以上を目標にしている。

チーバくん：うまく進むといいね。

よもやま博士：計画には、ほかにも病院での緩和ケア、在宅での緩和ケア医療の充実、患者さんが療養に関わる様々なことを相談できる支援センターを院内において専門的な相談員を配置することなども書かれているよ。チーバくんも、がん対策推進計画の冊子を一度読んでおくといいよ。千葉県が作った冊子には、患者さんの疑問にも答えるようなコラムや、がん体験者によるメッセージもあちこちに載っているから、読みやすいよ。ポイントを絞ってまとめた概要版も出ておるぞ。

チーバくん：なるほど、そうなんだね。ぜひ読んでみるよ。