国立がん研究センター中央病院、「がん患者さんのサポートと生活の工夫展」。がん患者さんの生活とメンタルを支えるオンライン講座を配信。患者教室やサロン、パネルディスカッション。

国立がん研究センター中央病院(東京都中央区築地)は、令和5年3月7日から4月30日まで、がん患者さんの生活を支えるサポートや工夫についての講座、セミナーをオンラインで配信しています。患者さんが「がんになっても安心して暮らせる社会を目指して―がん患者さんのサポートと生活の工夫展オンライン」をテーマに患者さんとその家族が快適に暮らすためのアイデアやアドバイスを提供しています。同病院の医師や看護師、リハビリ専門職、コメディカルのスタッフが直接話している動画で見ることができます。参加費は無料。

以下のリンクをクリックすると各動画が見られる公式サイトにつながります
がん患者さんのサポートと生活の工夫展

生活の工夫展では、国立がん研究センター中央病院が患者さん向けに進めている患者教室など10のトピック、19本を動画にして配信しています。リンパ浮腫のセルフケアの方法やスキンケア、症状別の食事対策やおすすめレシピの紹介、脱毛や爪などの外見の工夫、気持ちの持ち方までていねいに解説しています。

オンラインのリアルイベントでは、思春期~30代の若い世代の患者さん向けの「AYAひろば」を開催。患者さん同士がつながり安心してコミュニケーションが取れる場を設けました。

パネルディスカッション「私だってスポーツしたい!」
東京パラリンピック2020車いすバスケ日本男子代表監督 及川晋平さんをゲストに迎えて

また、多職種によるパネルディスカッションとして「私たちだってスポーツしたい!」も配信。東京パラリンピック2020で車いすバスケットボール日本男子代表監督を務めた及川晋平さんをゲストに迎えて、悪性骨腫瘍の治療経験や車いすバスケとの出会い、生きがい、必要な支援の在り方について話題に取り上げました。

及川さんは、16歳で骨肉腫を発症し、肺転移なども経験しました。その後、アメリカ留学中に出合った車いすバスケットボールに夢中になり、帰国後は日本代表選手として活躍し、車いすバスケの選手、コーチ、監督として現在も携わっています。及川さんは、バスケに夢中になりながらも、骨肉腫という病気とどう向き合うか、今後の人生をどうやって生きていくかがいつも頭の中にあったといいます。「病気を抱える自分のことを卑屈に思うこともあったが、パラリンピックの開会式に出た時に、ああ、がんになった自分もこれで良かったんだと心から思えた」と語りました。

パネルディスカッションでは、がんサバイバーとスポーツとのかかわりをテーマに意見交換しました。人工関節などが入っていると、動きの激しい運動やぶつかり合うような競技をすることに対して、医療者側も患者さんにセーブをかけることもあるといいます。パネラーからは、「日常的に楽しめる運動やスポーツは大いに挑戦していただきたい」「まず、自分から動いてみて、情報や仲間とつながりながら自分の状態に合うスポーツを見つけていってほしい」などの意見が出されました。

追伸

及川さんは、今でも千葉県がんセンター職員や当NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉スタッフとのつながりも深いです。

千葉県がんセンター患者図書室「にとな文庫」にて

リオ五輪パラリンピックの記念写真

及川さんは、現在、車いすバスケットボールチーム「NO EXCUSE」のヘッドコーチをされています。「NO EXCUSE」は2002年に及川さんが創設したチームです。「言い訳をしない」という思いが込められたチーム名にふさわしい、力強いボール裁きと鮮やかなチームプレーが見どころです。試合応援にも力が入ります!