ドッグセラピー、アロマセラピー、音楽療法…
              患者ケアが充実
         設備も医療も「患者主体」の精神で
       

          千葉大学附属病院 看護師
                大田 今日子


 


   米国における診療の実際を見学し、視野を広げ、貴重な経験を数多くできたが、その中でも特に印象的であったこと、感想を以下にまとめる。

  ➀ドッグセラピーやアロマセラピー、ミュージックセラピーなど分業化が進んでおり、様々なコメディカルが関わっていた。ロビーで犬と楽しそうに触れあう患者の笑顔が素敵だった。


              外来診療、ドクターが患者の待機部屋を訪問

  ②病院と在宅の中間を担う施設が十分にあるため、入院期間が短く、外来時間が長い。外来は日本とは異なり、患者の待機する部屋へ担当医師が訪問する形で診療が行われていた。

  ③壁に本日の看護計画などを書くボードがある、病室が広くホテルのようにベッドメイキングをした係の名前を記入した紙がある、家族や友人と過ごす時間が大切にされており、家族用のベッドが病室内に設置されているなど、療養環境が整っており、患者が主体となって治療を受けている様子が分かった。



 
 


                         看護師、服装や髪形は自由
               高い仕事意識は、身なりに関係
なし

  ④日本のように制服や髪型が規則で厳しく定められておらず、指輪をつけているスタッフや髪をおろしているスタッフがいたが、それぞれ仕事へ対する意識が高く勤務していた。広い病棟内でスタッフの動きを把握するため、スタッフのいる位置が分かるような機器を導入していたのが面白かった。

  ⑤教育や血管採取など、様々なナースプラクティショナーがより専門性を生かして関わっていた。看護師の勤務年数に応じた教育プログラムが確立されており、高度な医療および質の高いケアを支えているのだと感じた。

  ⑥ラボでは、完全置換型補助人工心臓の開発や研究がなされており、医療技術や医療機器の進歩と可能性に触れることができた。補助人工心臓を植え込んだ患者がテニスをしている動画を見て、QOLについて考えさせられた。日本では移植適応でなければ植え込みを行うことが認められておらず、長期間病院で過ごさなければならない現状があるため、様々な文化的背景などから困難かもしれないが、少しずつでも制度などが変わりQOLの高い生活へ繋がれば良いと思った。