看護師と助手の分業が徹底
       手術の器械出しのすばやさもトップクラス
        人工心臓の開発、研究も目の当たり
       

            千葉県救急医療センター 
             看護師 櫻井 友美



 


                病院ロビーですが…“Welcome”文字

 今回、私たちはNPO医療福祉ネットワーク千葉のご支援と、アメリカオハイオ州のCleveland Clinicのご協力を得て、5日間に亘る海外研修に参加することができました。看護師にとって海外の医療機関で研修を受けられるということは、大変貴重な経験となり、アメリカと日本の医療体制の違いなど多くのことを肌で感じることができる刺激的な毎日でした。

 Cleveland Clinic はアメリカでもトップクラスの病院であり、その最新医療技術を求め各国の患者や医師が訪れるという。その象徴とも言えるメインロビーの壁に書かれた「Welcome!」の文字。十数カ国の言語で書かれているところがグローバルな感じでしたね!





 

 


   
   研修分野は胸部心臓血管外科、移植外科、循環器科、脳血管内治療科などが予定されており、実際にOR(肝移植手術)や、Transplant surgery ICU(移植手術ICU)、Cardiovascular ICU(心臓血管ICU)、一般病棟など様々な部署を見学することができ、現場スタッフは、私たちの質問に快く丁寧に対応してくれました。どの部署にも看護助手が看護師と同じ位の人数で配置されていて、ケアや処置の物品準備や片付けなどは全て看護助手の役割で、看護師は一人一台の電子カルテを押し歩き、記録の入力や医師オーダーの確認などを行っていました。患者が病棟外に検査などに出る際には、移送専門スタッフがいるそうです。まさに分業制度!!手術室においても、肝・腸の移植や消化器などの一般外科のORだけで約50部屋あり、各科の担当看護師に分かれていました。予定手術は朝7時台から組まれており、手術件数の多さからか器械出しの反応は早く的確で、レベルの高さを感じました。余談になりますが、外回りをしていた看護師の手には紫のマニキュアと大きな指輪が!これは、結構衝撃でした。



 


 



                 心臓移植の実績、日米で大差
                         
  また、Cleveland ClinicのスタッフとしてVAD(ventricular assist device:補助人工心臓)や心臓移植の研究を続けている深町先生が、心臓移植後の生存率や心臓移植件数の推移、VADの歴史と現況や展望などについて詳しく講義をしてくださり、実際にVADの開発が行われている研究室にも案内して頂くことができました。また、埋め込み式VADの手術後の患者に会うこともできました。本人はまだ、手術後の回復期のため手術前との差を実感できてはいないと話されていましたが、ベッドサイドの椅子に腰掛けており、経過が順調であれば2週間後には自宅へ退院予定とのことでした。日本でも数年前に植え込み式VADの認可がおりましたが、心臓移植適応患者であるなどの条件があります。また、人口100万人当たりの年間心臓提供者数は、アメリカ7.3人に対して日本は0.05人と日本での心臓移植のドナーは少なく、心臓移植を必要とする日本人の環境はまだまだ厳しい状況であることを改めて学ぶことができました。



 
 



                   各国から研修生、Facebookで交流続く

  研修期間中に、深町先生が研究室スタッフらと共に夕食にお誘いしてくださり、とても楽しい時間を過ごすことができました。また、同時期にCleveland Clinicに来ている研修生達との昼食会が企画されており、50名程の研修生が集まりました。その際にはメキシコやレバノンから訪れていた医師とも交流を持つことができ、帰国した今でもFacebookを通じて交流が続いています。素敵な出会いに感謝です!

 数ヶ月に亘り交渉に交渉を重ね、研修プランを作成してくださった山口先生、本当にありがとうございました。また、総勢13名の研修グループの皆様、旅路の途中の数々のハプニングも笑いに変え、弾丸ツアー並の観光スケジュールもこなし、何十年ぶりに修学旅行にでも行ったような楽しい思い出をありがとうございました。