潤沢な医療機器
        地域の病院とwebでリアルタイムに連携
       最新の医療システムで、チェック機能も万全
       

        千葉大学大学院 医学研究院  循環器内科学 
             医師  佐藤 真洋



 


【研究の概要】
期間:平成25年11月9日~11月17日
研修先:Cleveland Clinic (11月11日~15日)   Cardiovascular medicine, Cerebrovascular Center

日程:    1日目    Cerebrovascular Center

                            Dr. Russmanによる回診参加、ミーティング参加、カテーテル室の見学

              2日目    Cerebrovascular Center
                         Dr. Doloraによる回診参加、Dr.ShazamによるIVRの見学

            International Visitor Lunch
              Dr.UchinoによるCleveland clinicの説明

              3日目    Cardiovascular medicine
                           Dr.ChoによるCardiovascular ICU回診参加
            カテーテル室見学(mitral valve clip見学、transaortic valve implantation (TAVI),
                  Percutaneous catheter intervention(PCI)見学)

              4日目    Cerebrovascular Center
              Clinical conferenceへの参加

           Cardiovascular medicine
                           Dr.ChoによるCardiovascular ICUの回診参加
                           Dr.Fukamachi Laboの見学

              5日目    Heart Failure ICUの見学                





 

 


   今回の海外研修はNPO医療福祉ネットワーク千葉、千葉大学心臓血管外科松宮教授のご指導ならびにご支援のおかげで実現しました。

  Cleveland clinic はアメリカオハイオ州にあり、1921年医師4人、従業員40人で開設されました。現在は医師・研究者2800名、看護師11000名、従業員41077名が勤務しUS News & World Reportが毎年行うアメリカのベストホスピタルランキングで常に上位にあげられています。特に心臓部門は全米病院ランキング第一位です。研修期間は5日間で非常に充実した時間を過ごすことができました。


                 広大な病院敷地内にホテル2か所、シャトルバスも走る
                世界各国から医師が集まる

   
  まずCleveland Clinicと私が所属した病院を比較すると、Human resourceが豊富で医師は世界各国から来ており、処置などはphysician assistantやnurseなどがサポートしていました。

                         朝7時前から活気にあふれる

  また朝7時前でもコメディカル含め多くのスタッフが勤務を開始しており院内は非常に活気がありました。会議も7時開始ということもあり、18時ごろには帰宅している方もいました。

  Cleveland Clinicの規模ですが、心臓専門センター、神経科センター、がんセンターなどそれぞれのセンターの規模が、日本でいう病院クラスの施設で10以上あり、病院敷地内に2か所もホテルがあるほど広大でした。各施設間が離れているため、シャトルバスも走っており一つの町のような印象でした。

   設備は、医療機器が潤沢に備わっているという印象がありました。ICUの各ユニットにportable angiography(移動式の血管造影器)があり、PCPS(percutaneous cardiopulmonary support  経皮的心肺補助装置:心臓と肺をサポートする機械), IABP(Intra aortic ballon pumping 大動脈内バルーンパンピング:血行動態などをサポートする機械)が迅速に挿入できるようになっていました。PCI(経皮的冠動脈形成術:カテーテルによる心臓の血管治療)などを行うカテーテル室も非常に大きく、TAVIなどを行うハイブリッド室は日本の手術室が二つ合わさっているくらい大きな部屋でした。カテーテル室は10以上、ハイブリッド室も複数あり非常に驚きました。

  最も驚いたのは院内無料Wi-fiがありWEBを用いた外部診療機関と連携した医療情報システムが確立されている点です。これによりCleveland Clinic周囲にある他の医療機関も院内でどのような治療を行ったかを確認することができます。また患者も自分のカルテへアクセスすることが可能で、薬剤相互作用のチェックなども可能です。




 


 


                 カンファレンスでも活発な議論

  Cleveland Clinicに勤務する医師の様子は日本の私の周りの医師と同様、非常にモチベーションの高い方が多かったです。

  Cerebrovascular Center(脳血管センター)のカンファレンスに参加しましたが、神経内科医、脳神経外科医、血管内治療医と関連する科が一堂に会して問題症例のディスカッションを行っていました。議論は活発で、レジデントだけでな多くのスタッフも積極的に発言していました。

  またCerebrovascular Center(脳血管センター)とCardiovascular Center(心臓血管センター)の回診に参加することができ、レジデント教育についても見学することができました。

回診ではスタッフ医師が必ず身体所見をとり、ベッドサイドで患者に直接、現在の状況、今後の治療プランを説明していました。そしてその治療プランをもとにフェロー・レジデントが検査や治療などのオーダーを行っていました。

             



 
 


  今回研修をさせていただき、TAVIや補助人工心臓など先端医療、施設の規模など日本との開きを痛感することもありましたが、自分の医学、医療に対する姿勢を考え直すとてもよい機会になりました。

  今回海外研修の機会を与えてくださった、竜先生、片桐様をはじめNPO医療福祉ネットワーク千葉の皆様、今回の研修のリーダーをしていただいた山口先生、一緒に研修したメンバーの方、この研修に快く送りだしていただいた千葉大学大学院医学研究院 循環器内科学 小林欣夫教授はじめスタッフの方々、そしてクリーブランドクリニックでお世話になったDr.Fukamachi, Dr.Uchino, Dr.Osanaiはじめ多くの医師、スタッフに改めて感謝申し上げます。