手術の完全分業に戸惑いも
       ガーゼ、針のカウント方法もハイテクで確実に
       術後の患者さんとも会話
               

           千葉県循環器病センター 
           主任看護師 進藤 久江



 


  今回、米国で最も大規模で敬意を持たれている医療機関のひとつのクリーブランドクリニックで医療現場の実際をみることを目的に医師7名と看護師6名でNPO主催の海外研修に参加しました。看護師は、移植センターと心血管センターのICU見学、心血管ダイナミックス研究室での研修を行いました。


                             手術開始前の様子も把握

  初日はオリエンテーションのあと移植センターでICUや病棟の見学を終えたあと、緊急で小腸移植手術が入ると聞き、夕方から医師2名とともに見学に入る事が出来ました。手術室の患者入室前の準備は、手術ベッドの作成は日本と差はありませんでした。患者ベッドの足もとには手術器械が展開してあり、ドレープでカバーしてありました。準備の様子は見る事は出来ませんでしたが、すぐに使えるようにセットしてありました。患者入室から手術開始までは、麻酔科医師3名でライン確保や麻酔導入を行っていました。看護師はライン確保の介助等にはつかず、患者の準備を行っていました。海外ではそれぞれの職種の分業がされていると聞いていましたが、自分の仕事以外には手を出さないという徹底ぶりを見て少し戸惑いを感じました。この手術はドナーの臓器の血流不足の連絡をうけ術者判断により移植は断念となり手術途中で見学を終える事になりました。



                                                                                

  2日目は手術見学とクリニック主催の研修医の方々との昼食会に参加しました。夜は肝臓移植が行われるとの情報が入り、ドナーの臓器摘出に同行した医師より情報を頂き、時間の調整をして肝臓移植の見学をすることが出来て、とても貴重な機会となりました。

                        手術中の看護師の役割、再確認

 3件の手術を見学し手術中の看護師の役割は、器械出し看護師への関わりが主でした。ガーゼカウントはするが出血量の測定していない。またモニターや尿の流出の観察はせず、患者の全身状態の管理は麻酔科医師が行い、出血量は吸引出血や血液データーから麻酔科医師が算出していると聞きました。ガーゼカウント方法は、ガーゼについているQRコードを端末機で読み込み管理していました。端末だけではなく、カウントシートも使用しガーゼの管理をしていました。針カウントもシートを使用し安全に確実な方法で行っている事がわかりました。使用機材の違いや、器械展開の仕方など違いはあるが、視点を変えて現場を振り返ってみたいと思います。

 
 


 4日目には、心血管ダイナミック研究室で、LVAD・人工心臓について話を聞き研修室で実演を見せてもらいました。夕方には研究室の方々と食事会もあり交流を持つことが出来ました。

 5日目には心血管センターのICUを見学することが出来ました。深町先生が通訳をしながら同行して頂きました。術後の患者さんにも会い話を聞くことが出来ました。


 

 
 


今回の研修には、13名(医師7名と看護師6名)での参加でした。研修場所は、脳血管・心血管センターなどわかれていたため、ホテルに戻ったあとの夕食時に、情報を共有する事が出来ました。自分の見る事が出来なかったハイブリッド手術室や心臓血管外科の手術の様子等写真を通して知ることができました。初めはどうなる事かと不安の方が大きかったのですが、リーダーの山口先生をはじめ参加者の皆さんに助けられながら無事に終えることができました。そして貴重な経験が出来て今は楽しかった思い出がたくさん出来ました。皆様に感謝しています。

  また海外研修の機会を与えてくださった、NPO医療福祉ネットワーク千葉の皆様、クリーブランドクリニックでお世話になった皆様に改めて感謝申しあげます