心臓部門、全米ランキング1位の現場を目の当たり
       手術、脳死移植、カテーテル治療、回診を経験
       13名の団員、各部門で充実した研修


       千葉県救急医療センター心臓血管外科
         主任医長  山口 聖一(団長)



 


                 クリーブランドクリニックとは
Cleveland Clinic (クリーブランド・クリニック) は、オハイオ州クリーブランド市に本拠地を置き、研究と教育を基に臨床と医療ケアを統合させた非営利医療機関です。1921年に、“協力” “思いやり” “革新” の3つの原則を軸に4人の医師と40人の従業員によって創設されました。現在、3,000人の医師・研究者、11,000人の看護師、41,000人の従業員の数がおり、クリーブランド市で最大の雇用主となっています。
  U.S. News & World Reportによる評価で、心臓部門は全米病院ランキング18年連続で第一位に輝いています。世界初の“セロトニンの分離”、“冠動脈造影”、“冠動脈バイパス手術の確立”等はクリーブランド・クリニックで行われました。

    

 
 今年度のNPO法人医療・福祉ネットワーク千葉主催の海外研修は、このCleveland Clinicにて13名の参加者(医師7名、看護師6名)で1週間行われました。

準備段階において、千葉大学心臓血管外科、松宮教授よりThoracic & Cardiovascular Surgery(心臓血管外科), Dr.Sabikに対し推薦状を、Cardiovascular Dynamics Lab(心血管動態研究室), Dr. Fukamachiに対し口頭依頼を頂き、また、県救急医療センター小林院長より、Cerebrovascular(脳血管) Center, Dr. Uchinoに対し推薦状を頂きました。その他、Cardiovascular Medicine(循環器内科)やTransplantation (移植)Centerの先生方にも協力をいただけ、Center for International Medical Education(CIME)のとりまとめなどで、充実した研修を行うことができました。
  







 初日の11月9日(月)早朝にCIMEの方の案内で病院へ向かい、Thoracic & Cardiovascular Surgery(心臓血管外科)、 Transplantation (移植)Center、Cerebrovascular(脳血管) Centerの3部門へ分かれ、手術、カテーテル治療、病棟回診などの見学を行いました。脳死のドナーがMassachusetts(マサチューセッツ)州にて出たとのことで、Clinicでは小腸移植が行われることとなり、夜9時過ぎまで待機しましたが、摘出した小腸の状態がよくないとのことで、手術は残念ながら中止になりました。

                          ICU見学に看護師4名が参加
 10日(火)、看護師対象のICU tourが行われ、4名の看護師は朝から昼まで参加しました。前日同様の3部門に分かれ研修が行われました。夜にはClinicより車で1時間ほどのところで脳死ドナーが出たとのことで、研修医の木本君が現地ドクターと共に向かい、臓器摘出手術に助手として手洗いをして入りました。臓器はすべてClinicへ持ち帰られ、心臓、肺、肝臓、腎臓などの移植手術が、11日(水)早朝より行われました。私たちは脳死肝移植の手術を見学させていただきました。また、Cardiovascular MedicineによるICU回診やカテ―テル治療などの見学が行われました。

                  
Fukamachi先生とともに
 12日(木)にはCardiovascular ICU observing(見学)に多くのものが参加しました。午後には、Fukamachi先生の部署、Cardiovascular Dynamics Labにお邪魔し、VAD(補助人工心臓) の詳しい説明を受けた後、千葉大渡邉医師による、日本のVADの現状に関するpresentation(発表)が行われました。実際の研究室内部を見学した後、
Fukamachi先生より、必ず見た方がよいと勧められ、美術館「The Cleveland Museum of Art」を全員で見学し、夜にはFukamachi先生のラボ関係者らと我々全員でのdinner party(夕食会)がFukamachi先生お薦めのイタリアンレストランで行われました。

 

 
  最終日(13日金曜)はホテルをcheck-outした後、午前中のみ、Fukamachi先生が依頼して下さったCardiovascular MedicineのDr. Leeの案内でHeart failure (心不全)ICU observing(見学)が行われ、全員で参加しました。VAD(補助人工心臓)植え込み後2週間の患者さんとの会話を許可され、具合が大変よさそうことに驚きました。
  
  研修全体を通じて、事前に連絡を取っていた深町先生、Dr. Sabik、橋元先生、長内先生に大変お世話になりました。さらに現地で紹介され知り合った先生方にも、研修への多大なサポートをして頂き、13名という大人数で伺ったにもかかわらず、複数の部署で大変充実した研修を行うことができ、感謝の気持ちでいっぱいです。様々な人々との交流という点においても、大変恵まれた研修であったと思います。研修の前後で、シカゴ、ニューヨークにも寄り、自由に観光・ショッピングなどを楽しむこともできました。
 

 
 最後に、このような貴重な研修の機会を与えご支援くださった、竜崇正先生、片桐様、風間様はじめNPO法人医療・福祉ネットワーク千葉の皆様に深く感謝申し上げます。