がん医療に満足?  7割が「NO」
 患者さんの本音があらわに

 「医師の説明が分からない」
 「心のケアをもっと受けたい」

 千葉県がん患者大集合2008
 初のがん患者によるがん患者のための集会を開催
          


                          がん医療の課題が浮き彫りに  
                  治療の進め方や心のケア


  医師からの治療や薬の説明が分からない、精神的なサポートを十分に受けていない―。9月14日に千葉市で開かれた「千葉県がん患者大集合2008」では、がん患者さんからの切実な声が上がり、治療の進め方や心のケアについてがん医療の課題が浮き彫りとなりました。

  今年初めて企画された患者大集合には県内外から、がん患者さんやご家族、医療の関係者500人が参加。テーマは「あなたの意見で千葉のがん医療を変えましょう」。シンポジウムでは司会者が投げかけた質問に参加者が「はい」「いいえ」を押しボタンで答えるアンケート「アンサーパッド」を使って、患者さんやご家族の声がリアルタイムでスクリーンに映し出される“新兵器”も導入されました。

                    

               
  今のがん医療に満足していますか?
                  「満足している」  33%


  今のがん医療に満足していますか?との質問に「満足している」と答えたのは33%にとどまり、7割近くの患者さんが「NO」と“ダメ出し”。告知や治療について医師からの説明が分からないと答えた人も44%と半数近くを占めました。シンポジストのがん体験者土田直子さん(支えあう会「α」)は「がんと聞いてガーン、告知は頭が真っ白になるだけ。先生からのメモや用語の通訳がほしい」と強調。患者さんにとっては気持ちのゆとりがない中、短い時間に難しい医療用語を並べ立てられても不安が募るだけというのが本音のようです。


                
副作用や合併症の説明ほしい 91%

   一方で、治療や薬で起こる副作用や合併症についての説明を求める声が91%にのぼり、ほとんどの患者さんは自分の病気や治療のリスクに不安を感じて、一つでも多くの情報を得たいと考えていることが分かります。これから受ける治療への不安を解消し、納得して臨みたいとの気持ちが分かります。

   長年がんと向き合っている患者さんやご家族からは、心のケアの不足を指摘する意見も上がりました。心のケアを十分に受けていますか?との問いに「受けている」とした患者さんは2割。病院内にがんの体験者が相談と話ができる場があれば利用したい(71%)、院内でで患者同士で話がしたい(73%)など、同じ病気を抱える患者さんやご家族が悩みを打ち明け合うピアカウンセリングの場を求める声も出ました。シンポジストで乳がん患者の小倉恒子さん(耳鼻咽喉科医師)は「患者は孤独になってはいけない。お互いにつるんで笑い合うのが一番の治療」と参加者を励まし、相談機関の充実をよびかけた。

                   

   患者大集合では、このほか小児がんの医療を取り巻く問題についても取り上げられました。患者大集合実行委員会では、「寄せられた患者さんの声をもとに報告書をまとめて行政や医療機関に示し、がん医療の改善に役立ててもらいたい」(齋藤とし子実行委員長)としています。

   患者大集合は、がん対策基本法をもとに千葉県が今年(H20年)3月にがん対策推進計画を策定したのをきっかけに、県内の患者団体が中心となって計画しました。この日は、シンポジウムのほかに日本医療政策機構理事の埴岡健一氏が千葉県の推計画と他県のとの比較について講演。千葉県がんセンター長の竜崇正氏が県内のがん診療連携拠点病院間で進めている治療の協力体制やがん登録の重要性について解説しました。県健康福祉部理事の山本尚子氏は県の推進計画について説明。特別セミナーでは千葉県がんセンターの医師や看護師が抗がん剤の副作用対策について紹介しました。

  当NPO法人は、この千葉県がん患者大集合の実行委員会に参加、協力しています。