【Dr.竜の診察ノート】1日3~4分の高強度の運動は「がん」を予防する

健康維持に運動は重要であることは、誰でも知っている。しかし、長時間の運動を継続することは中々ハードルが高い。ただ、毎日の短時間の運動で、健康維持できて「がんの予防」もできるなら、さらに運動する人が増えると思われる。そのような研究結果が、オーストラリアのシドニー大学からJAMA Oncology誌オンライン版2023年7月27日号で発表された。対象者は普段運動していない22,398人で、平均年齢は62歳、男性が45.2%、女性が54.8%である。

1日3.4分間の強い運動負荷で、がん発生率17%減少

負荷のかかる数分間の運動を、数分ごとに行うように設計指導した。2021年10月までの平均追跡期間6.7年で、2,356例(9.5%)のがんが発生した。運動負荷の関係と発がんについて、年齢、性別、教育レベル、喫煙、アルコール摂取、睡眠時間、果物および野菜の摂取、両親のがん既往等で調整して推定した。がん発生との関連が認められた運動の最小時間は1日3.4分であった。3.4分の強い運動負荷を毎日行うことで、行なわない場合と比較して、全がん発生率は17%減少した。また、1日5分行うと、肺がん、腎臓がん、膀胱がん、胃がんなどの発生率が31%減少した。

家の中でのスクワット、速足散歩でも十分OK

著者らは「運動ができない集団や意欲のない集団」に対しても、系統的に4~5分の運動負荷を継続することが、有望ながん予防法になると結論している。手軽にできる強い運動負荷は、家の中でのスクワットや、速足での数分間の散歩などが思いつく。手軽にできる数分間の負荷のかかる運動を工夫して毎日行い、皆でがんを予防しよう。

※「Dr.竜の診察ノート」は、NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉の竜崇正理事長が、浦安の市民新聞「うらやす情報」に寄稿したものを発行後に編集して掲載しています。