【気になる一作・本】「Another REAL 車いすバスケ日本代表はいかにして強くなったのか!?」を読んで。東京五輪で銀メダル獲得の源流、及川ヘッドコーチの“リアル”
今回ご紹介するのは、「Another REAL 車いすバスケ日本代表はいかにして強くなったのか!?」(集英社)です。井上雄彦さんの漫画シリーズ「リアル(REAL)」の取材チームによる車いすバスケチームを長年追い続けたドキュメンタリーで、昨年東京パラリンピックで史上初の銀メダルを獲得するまでの軌跡が描かれています。男子車いすバスケチームを応援し続けている当法人常任理事の大西眞澄さんによる記事です。
東京パラリンピック、史上初銀メダル獲得の感動がよみがえる
東京パラリンピックで史上初の銀メダルを獲得し、男子日本代表車いすバスケの歴史に新たなページが刻まれて、ちょうど一年たちました。 この本には、銀メダルへの軌跡に20年以上に亘って追い続けてきた「リアル」取材チームだからこそ描けた車いすバスケ感動の真実(リアル)と、写真家 細野晋司氏による秘蔵カットの数々がそこここにちりばめられています。東京パラリンピックの車いすバスケをテレビで観戦していた時の感動、そして長年にわたり私自身が車いすバスケを応援してきた数々の思い出が、映像と共に蘇りました。
前日本代表ヘッドコーチ・及川晋平さんの試行錯誤、努力が源流
この本の源流は、まさしく前日本代表ヘッドコーチ及川晋平さんです。彼が試行錯誤しながら、ものすごい努力を積み重ねてきた20年間の歩みが見事に描かれています。2001年から始めたJキャンプ、第1回は北海道で行われ、これが今の日本車いすバスケの出発点となっています。世界最高のコーチと言われるマイク・グロブリー氏を迎え、ここには当時13歳の香西宏昭選手や、漫画家の井上雄彦氏も参加しています。このキャンプは、「エフォート」 「インテリジェンス」 「チームワーク」 「エンジョイ」 の4つの柱で運営されていました。
ここにグロブリー氏の言葉-「銀メダルを獲得した日本代表が歩んできた道のりを想う」-を少し長いですが引用させていただきます。
「選手たちを制限することなくプレーさせ、彼らがなれる最高の選手にするというビジョンをずっと持ち続けてきました。必要なステップを確実に踏んでいくためにハードワークは厭いませんでした。晋平は、『選手たちがゲームを楽しめるプログラムを作っていく』というビジョンを見失いませんでした。それは20年も前にJキャンプから始まりました。銀メダルのルーツはJキャンプであると思います。車いすバスケへの全く新しいアプローチがそこで紹介され、晋平とあのJキャンプを支えたみんなのチームワークが、それを日本に順応させて、日本の車いすバスケを強くしていったのです。その長い道のりを知る人は少ないでしょう。でも、そのスタートに私がいたこと、その道のりのすべてを目撃できたことをとても光栄に思います。」
まさに晋平さんの軌跡が集約されております。ほんの一部しか紹介できず、ここに書ききれない事柄がたくさんつまっております。ぜひ本を手に取ってみてください。
追伸ですが、 今年9月、タイで行われたIWBF男子U23世界選手権で日本は初めて優勝し、これからの車いすバスケはさらに目が離せなくなりました。また、及川晋平さんは、今年から代表活動を離れ、NO EXCUSEのヘッドコーチに復帰し来年 1月の天皇杯に向けてスタートしているそうです。これからも引き続き応援していきます。



