![]() 個人情報の管理、感染症対策でも違いを実感 千葉県病院局 研修医 近森 正智 |
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今回見学させてもらったToronto General HospitalはUniversity Health Networkに属しており、大学病院とほぼ同し?形態の病院です。安福先生のいらっしゃる呼吸器外科にて研修させて頂きました。私は内科志望をしておりましたので、手術室の見学は1日目のみとさせていただき、Fellowの先生について外来見学をメインとさせて頂きました。しかし最終日には(閉胸だけですが)肺移植の手術、移植カンファも見学させて頂きました。
≪Time Table≫ ・患者 ・病棟業務 驚かされたのは個人情報の考え方で、紙カルテなのですが温度板が病室のドア近くに立てかけてあり、回診の時などにいつでも閲覧できるようになっていました(逆に言うと誰でも閲覧できる状態)。日本では個人情報の兼ね合いから温度板はどうしてもナースステーションの中に戻す事になっている病院がほとんどのため、あまり見かけない状況でした。 感染対策については「手洗いしよう」とのポスタがそこかしこに貼られており、またMRSAなどのPtの病室のドアにはキャップ、マスク、ガウン、手袋のうち何を付けなくてはならないのかのチェックリストが大きな紙で貼られており、来院した家族にも分かりやすい表記になっていました。(日本の場合だとMとだけ書かれたラベルが小さく貼られていたり、マスクが置かれているだけだったりで何も表記されていないことも多々あります) ・外来 外来は呼吸器内科・外科病棟と同じフロアに呼吸器専門の外来があり、そこで呼吸器系の検査もできるようになっているので、Dr、Ptの動線が短くなるように病院の建物が設計されていました(ただしCTなどの画像については違うフロアにあるので日本のように外来棟があった場合よりも、Ptの動線は伸びているかもしれません)。 基本的に仕事をする役職の分担は異なりますが、やっている診療内容については細かい点でいくつか異なります(褥瘡の持続吸引や気管支狭窄に対するYAGレーザはあまり日本では出来なかったり、逆に腫瘍マーカー測定や気管支鏡下生検はカナダではあまり実施されない)が、他の部分では同じでした。よく「日本の診療レベルはなかなかのもの」と言われても、まったく実感を持てなかったのですが、今回の研修でそのことを確認することが出来たので、今後の勉強の励みになりました。 寄付金を多く募っており、その寄付金で検査室などが新たに設置できたりと資金面では豊かなようにも見えましたが、オーダー以外の電子カルテを設置するのは高価なため電子カルテが導入されていないなど妙に節約されている部分もあったので、ハードとソフトを合わせた充実さでは日本の大学病院とあまり差はないのかもしれません。 |
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