ケアフードもう体験しましたか?

患者さんと家族にピューレ3品を提供
主食となるパスタと野菜ソース3品

治療しながらもおいしい食事を


石原シェフとNPO、200食を提供
千葉県がん患者大集合2011
試食する参加者
 
  NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉は、9月4日に千葉市で開かれたがん患者大集合2011で、フランス料理の手法を使った飲み込みやすい「ケアフード」の試食会を開き、考案者の石原雅弘シェフとともに200食のピューレを患者さんやご家族に提供しました。がん患者大集合での試食会は昨年に続いて2回目。ケアフードの試食経験のある患者さんからは「食事がとれないいざというときも、これがあると思うと楽な気持ちになる」などの感想も聞かれ、治療しながらも食事を楽しむ手法としてケアフードが広がりを見せています。

 〜試食はパスタのピューレとトマト、キノコ、ホウレン草のソース〜
3種類のパスタソース    試食メニューはご飯やパンとともに主食にもなるパスタのピューレと、新鮮な野菜を煮込んだトマト、キノコ、ホウレン草の3種類のソースでした。パスタは、麺の状態ではありませんが原材料の小麦の香りがより強く感じるようになっており、どのソースとの相性も抜群。野菜ソースはそのまま食べてもおいしく、素材の味がしっかりと引き出されていました。キノコやホウレン草は、少量のベーコンを混ぜてコクを出す工夫も施されました。石原雅弘シェフ(ホテルメトロポリタンエドモント「フォーグレイン」料理長)が、その場で温めたピューレを色どりよく盛り付けて提供。患者さんからは「きれいな色どりで食欲も出てきました」、「これなら飲み込める。おいしいわ」などの感想や、レシピの問合せのほか、商品化の動きはないのか、どこのレストランで食べられるのかなどの質問も寄せられました。


 〜栄養価も割り出し、チーズやオイルで味調整も〜


試食を盛り付ける石原シェフ


盛り付けられた試食品
  

  
  今回は、初めてケアフードのカロリー計算にも取り組み、4品それぞれのエネルギー、たんぱく質、塩分を割り出しました。国立がん研究センター東病院の落合由美栄養管理室長の協力で、食品成分表に基く計算をしました。試食品は1品10〜20g程度ずつのため、一皿分約50gで40kcal程度。しっかり味を感じられるのにもかかわらず、塩分はほとんどゼロとなりました。カロリーをもっと摂りたいという方にはチーズやオリーブオイルをかけられるようにし、食べる方の味の好みや体調に合わせて組み合わせを工夫しました。

  管理栄養士の落合さんも「一口でも二口でも食べ物を口から食べることで唾液を出して胃や腸を動かすことにつながります。免疫力を上げて全身状態もよくすることにつながります」と話し、ケアフードを通じて患者さんが食事を楽しみながら治療につなげていくきっかけになることを強調しています。


 
 当NPO法人では、今回の試食に合わせてアンケートを実施し、患者さん、家族、医療関係者などから、ご病気の内容、受けている治療の種類別に食欲の有無や食事にかかわる悩みなどについて質問しました。また、在宅でどのような食事をとることが多いのか食生活への具体的な質問や、これまでに食べた思い出に残る食事や食べ物についてなどにも触れ、食事全般にわたって患者さんやご家族の「本音」を聞きました。今後は、アンケート結果をもとにがん治療中でもケアフードを活用しながら食事をおいしく食べられる工夫などを研究、提案していきます。回答いただきました皆様ご協力ありがとうございました。