【連載・チーバくんのがん情報局】⑧千葉県がんセンターpart4 オンコロジーチームって何? 患者さん一人ひとりの体質や病状にあった抗がん剤投与の工夫を考える

がん対策基本法施行記念
連載・チーバくんのがん情報局
⑧千葉県がんセンターpart4 薬が患者さんに合っているかどうか検証する「オンコロジーチーム」
副作用にいち早く対処

チーバくん:通院化学療法室では、患者さんも点滴しながらテレビを見たり、おしゃべりをしたりしているね。編み物をしている方もいるね。でも、抗がん剤治療って、痛みや吐き気、倦怠感といったつらい副作用が出るというイメージがあるけれど、その副作用を抑えるような工夫もしているの?

山田看護師:そうね、チーバくん、よくぞ聞いてくれましたね。最近は、新薬の治療試験いわゆる「治験」も進んできて、病院では治療に役立つ新しい抗がん剤をどんどん取り入れている傾向にあるし、その分患者さんへの副作用のリスクもあります。でも、患者さんが副作用を感じたらできるだけ早い段階でその症状を抑える対策をとることで、その抗がん剤を続け、効果を出すことも十分可能なんです。ここでは、医師や看護師、薬剤師など10人で「オンコロジーチーム」というグループを組んで、今使っている薬が患者さんに合っているかどうか検証するシステムをとっています。

チーバくん:オンコロジー?

山田看護師:そう。オンコロジーというのは「腫瘍学」という意味です。つまり「がん」のことね。痛みはもちろん、食欲不振や吐き気、口内炎、手足のしびれ、発疹などのアレルギー症状というように一人ひとり副作用の出方も違うの。だから、ここでは患者さんに抗がん剤の投与から一週間の体調変化を聞く問診票のような「自己チェックシート」を記入してもらっています。シートは、薬剤別、治療別に12種類作っています。もちろん、看護師も直接患者さんに話を聞いたりして、その方に合った抗がん剤の輸液量や酒類、投与の頻度などを決めたりもしますよ。

抗がん剤と上手に付き合うために

チーバくん:やっぱり、患者さん本人が一番自分の身体のことが分かるからね。患者さんの声を聞くことを重視しているんだね。

山田看護師:その通り。患者さんも自分の体質を知ることができるし、抗がん剤と上手に付き合えるようになるの。その効果でもあると思うんだけど、最近は抗がん剤投与で副作用の代表ともいえる嘔吐を訴える患者さんが減ってきたよ。例えば、お酒に弱い人や、妊娠中につわりがひどかった人は抗がん剤による吐き気も強く感じる傾向にあるので、薬の投与初期段階から対策をとっていくと、意外と症状を少なく抑えることができるんですよ。

チーバくん:へぇ、そうなんだ。抗がん剤とうまく付き合えると、患者さんはずいぶんと楽になるだろうね。

山田看護師:ほかにも、食事の内容やペットの飼育方法、お風呂の入り方、爪の切り方など日常生活の細かいことにも指導しています。患者さん自身も副作用を予防する意識を持ってもらい、ちょっとした工夫をすることも、薬の効果を上げる大事なポイントになるんだよ。

チーバくん:そうなんだね。きめ細かい対応ができるようになってきたんだね。抗がん剤の治療は長い目で見ながら続けていく必要があるから、副作用の心配が軽減するのであれば、患者さんも心強いね。勉強になりました、ありがとうございました!

さっそく博士に報告しなくちゃ。でも、千葉県がんセンターでもう少し取材を続けてみたいな。