【Dr.竜の診察ノート】孤独と不眠が老化を早める、十分な睡眠と運動で健康寿命を延ばそう
世界一の長寿国日本、老衰で亡くなる人年間15万2000人
令和4年(2022年)の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳で、男女とも世界一だ。2021年の死亡原因の1位はがん、2位は心疾患、3位は老衰だった。がん死亡者数は38万1497人。全死因の26.5%だった。死亡数が多いがんの部位は、男性が「肺」5万3279人、「大腸」2万8079人、「胃」2万7196人。女性は「大腸」2万4337人、「肺」2万2933人。死亡原因3位の「老衰」は高齢化を反映、2005年以降急増して15万2035人、前年より約2万人増加している。新型コロナウイルス感染による死亡者は1万6756人で、死亡率は13.6だった。
老化促進する「喫煙」と「孤独」
「睡眠不足」も死亡率を高める
老化を促進する因子として、2007年の厚生省の報告では、「喫煙」「孤独」「寝不足」「運動不足」「過度の飲酒」「肥満」だ。「喫煙」が最も悪く、それに匹敵する因子は「孤独」「寝不足」「運動不足」。別の報告でも、肥満と運動不足は死亡率が正常な人の3倍。孤独な人は2.8倍。過度の飲酒は2倍と報告されている。ブリンガム大学の報告でも、最も寿命に悪影響を与えるのは「孤独」「喫煙」次いで「過度の飲酒」「運動不足」「肥満」だった。
2012年に、ikedaは日本での死亡数を推計し、喫煙関連死亡は12万8千人、高血圧は10万4千人、運動不足は5万2千人、高血糖は3万4千人、塩分過剰摂取は3万4千人、アルコール過剰摂は3万3千人、肥満は1万9千人と報告している。また、別の報告では運動不足と肥満は正常な人に比べて死亡率が3倍、孤独な人は2.8倍、鬱状態は2.7倍、過度の飲酒は2倍と報告。今までにない報告として、特に孤独と睡眠不足が挙げられている。
少子高齢化に向かう時代、また結婚しない男女が増える中、孤独の問題は不眠とも関連して、大きな社会問題になると思われる。不眠には遠慮する事なく、医師からの睡眠薬処方を得て、快眠を得よう。
※「Dr.竜の診察ノート」は、NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉の竜崇正理事長が、浦安市の市民新聞「うらやす情報」に寄稿したものを発行後に掲載しています。