第3回市民公開講座 演題「乳がんの検診」 千葉県がんセンター 乳がん看護認定看護師 西 弘美
日本では年間に4万人以上の方が乳がんと診断され、約1万人の方が乳がんで亡くなっており、ともに増加傾向にあります。一方、アメリカやイギリスでは、乳がんと診断される患者は増加傾向であっても、死亡者数は1980年頃より減少傾向にあります。40、50歳代女性の70%以上がマンモグラフィ検診を受け、早期に乳がんが発見されているからです。日本でも40歳からマンモグラフィ検診が実施されていますが、全国の受診率は10%程度にすぎません。 検診で乳がんが早期に発見される利点は、がんが治る確率が高くなることに加え、手術が小さく済んで社会復帰が早くできる点にもあります。乳がんになる確率が高い40、50歳代、最近は増えている30歳代の女性は仕事や育児などで多忙であり、検診によって乳がんを早期に発見する意味はさらに重要です。 乳がんは自己検診ができる唯一のがんです。乳がんを発見するきっかけとなる症状の90%以上はしこりですからリスクもコストもまったくかからない自己検診の習慣を身につけることは早期発見の秘訣の一つです。また、乳がん術後の方はもう一方の乳房もがんになりやすいため、病院での定期検査に加え、やはり自己検診を行うことが大切です。 乳がん検診を受け、自己検診を行うことは自分の体に関心を持ち、責任を持つことにつながります。すべての女性が乳がんの知識を持ち、乳がん検診と自己検診の普及によって乳がんが早期に診断されるようになり、乳がんが100%治る時代が一日でも早く来るように願っています。 |