![]() 無駄の少ない手技が印象的 家族にモニターで手術を公開 千葉県救急医療センター胸腹部治療科 山口 聖一 (団長) |
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今回の海外研修は、NPO医療福祉ネットワーク千葉のご指導ならびにご支援と、千葉大学旧第一外科の故中島伸之教授時代に私が在籍したYale大学血管外科のDr. Sumpio(教授)のご協力により実現しました。 今回は、若手心臓血管外科医の椛沢君、榎本君、そして集中治療科で研修中の山本君が参加し、引率の私も加え4名での海外研修となりました。私を含めた心臓血管外科医3名は、主に手術室(OR)での見学を行い、山本君は午前中ICUでカンファレンスやラウンドに着き、午後はORに合流するという形になりました。病院見学は2日目の10月22日から26日までの5日間行うことができました。Vascular
surgery、Cardiothoracic surgeryのカンファレンスなどにも出席しました。病院見学初日にDr. Sumpio自らが我々を病院中に案内し、研修に関係する各部署で紹介して下さり、協力を要請して下さったため、とてもスムーズに病院研修をすることができました。 |
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心臓大血管の手術は、通常1つの手術室で直列に1日2件の予定が組まれ、基本的に術者と助手の二人で行い、PA (Physician assistant)が助手を務める場合もあり、外科医の負担を軽減しています。 手術適応は日本と比べ、やや早いように思いました。たとえば、David手術(自己弁温存大動脈基部置換術)は上行47 mm, バルサルバ洞45 mmの患者に対して行われました。手術成績が良いので、早めに手術適応としているのかもしれません。その他、冠動脈バイパス術、僧帽弁形成術、感染性心内膜炎に対する手術、EVARなど、日本でもよく行われる手術をたくさん見ることができ、とても参考になりました。手術の技術的な部分では日本と大差ないように感じましたが、外科医、PA、RN (Registered Nurse)などが皆、胸部外科専属のため手慣れており、手技の進行がより手早く無駄がない印象がありました。 |
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また、手術室の雰囲気が穏やかで、見学の我々をスタッフ皆が歓迎してくれ、安心して手術を見ることができ、タイミングを見計らって術中にたびたび質問をすることもできました。また、Yale School of Medicineの学生2名が我々と一緒に実習のため見学しており、様々な情報提供をしてくれました。 術後はCardiothoracic (CT) ICUに収容するのですが、すべて個室でRNが各患者に対し4-5名待ち構えており、術後の点滴やカテコラミンなどのオーダー、輸血の指示などは彼女ら(彼ら)が主に行います。レジデントとあまり変わらない権限を持っているように感じました。 |
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昼食は、病院や研究棟などの周辺にVender(屋台)が30件近く出ており、これらを利用し世界中の料理が食べられます。外のテーブルで食べたり、院内のカフェテリアで食べたりしましたが、これも楽しい思い出です。Dr. SumpioがNew Havenで最高というステーキハウスでディナーをごちそうしてくれました。Dr. Sumpioのラボに日本から来ている谷口先生も加わり、またYale学生によるアカペラなどもあって、とても楽しい食事会となりました。 New Haven市内はYale Universityの敷地がその多くを占めており、そのゴシック建築の建物(校舎)は鑑賞に値する素晴らしいものばかりで、Campusを散歩するだけでも楽しい気分になります。 10月26日午前中の病院見学を終え、ニューヨークへ移動し、夜にはBroadway musicalを楽しみ、巨大ハリケーンSandyの到着1日前の27日午後に日本へ飛び立つことができ、4人元気に帰国しました。とても充実した貴重な研修ができたと、皆喜んで帰国した次第です。 この海外研修の機会を与えてくださった、竜先生、木村先生、片桐様をはじめ、NPO医療福祉ネットワーク千葉の皆様、そしてYNHHの皆様に、改めて感謝申し上げます。 |
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