![]() 看護師7年目、自分の業務見直すきっかけに 患者の異常を見逃すリスクの回避体制が整う “かゆいところに手が届く”日本の看護、欠点もはらむ 千葉県救急医療センター 看護師 丸山 裕美 |
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【クリーブランドクリニックの概要】
世界80カ国から患者受け入れ |
【研修概要】 ICU、開放的な空間 プライバシーはきちんと守られる 研修は医師・看護師関係なく、参加したいイベント(各種手術見学、ICU・一般病棟ツアーなど)に人数を調整して参加しました。私は主に心疾患メインのICUに勤務しているので、ICUを中心に見学しました。まず建物や機器、システム面で素晴らしいと感じました。全て動線や作業に無駄がないように作られていました。輸液ポンプは小数点以下第2位まで設定可能で、その本体は10㎝四方程度のもの、1種類。10種類の薬剤が繋がれたとしても1本のスタンドに全て設置できるほどでした。点滴棒は天井から出た可動式のアームに吊るすようになっていて、CTや手術など患者が移動しなければならない場合、その棒を外してベッドに刺し直すだけ、という簡便さ。ICUはオープンフロアではありますが、ベッド間の柱とカーテンで仕切られ、ほぼ個室状態でプライバシ―は守られていました。ICUは閉ざされた空間になりがちですが、ほぼ全てのベッドの頭側には窓が設置されていて自然採光が可能でした。昼間はほとんど照明を使用していませんでした。 医師、iphoneでいつでもデータ把握 リスク回避のハイテク随所に 一般病棟は全個室でモニター以外の医療機器は全て壁面収納、自動体位変換可能ベッド、バスルーム、家族用ベッド(不使用時はソファーになる)、が完備されていました。個室だからこそ起こりうる転倒・転落や、病棟が広く患者数が多いからこそ起こりうるADL制限や食事制限の間違いに対しては、誰もが通る廊下の各所に設置されたモニター上に部屋番号と各種制限やリスクをマークで表示する対策をとっていました。治療指示、データ、看護記録は全て電子カルテ上に記載、常勤の医師は全員iphoneを持たされており、パスワードの入力で自宅からもデータをみたり、指示を追加したりできるようになっていました。看護師もまた、患者の状態が変わった場合、電子カルテに内容を記載すれば、主治医に連絡が取れるようになっていました。ただし、ICUに関しては一部、手書きの経過表を使用していました。 アロマテラピスト、カラーテラピストも在中 数えきれないほどのコメディカルが患者をケア コメディカルは多数いて、全てがその道のスペシャリスト。ME、呼吸療法士、PT、OT、ST、栄養士、アロマテラピスト、カラーテラピスト、体位変換専門の看護助手、患者搬送専門の看護助手、などなど数えきれない種類のスペシャリストが患者を取り囲んでいました。それぞれその道のスペシャリストにケアしてもらえることは患者にとって申し分ない医療サービスの提供であると思いました。看護師は全て完全2交代制(12時間交代)で、ICUは昼夜問わず2:1看護。私が見学させていただいた日は心外手術が20件入っていたようですが、心臓専門のICUは8部署あり、術後はそれぞれに散らして入室させるので、別段忙しそうには見えなかったのが本音です。看護師も一部機能別を取り入れていて、薬剤の取り扱いはそれ専門の看護師がいました。薬剤投与量も自動でポンプからパソコンへ入力されるような仕組みでした。実際、看護師は可動式のパソコンの前に可動式の椅子に座って、カーテンで区切られた2患者間でバイタルサインズの打ち込みをしている、という印象が強いです。つまり、患者の異常の有無を見逃してしまうかもしれない作業が少ないのです。観察する時間、十分にアセスメントする時間、異常があればすぐに報告できる体制が整っていました。それだけ、病院全体がハード・システム・マンパワー・それぞれの技術が効果的効率的に構築されていました。 患者さんの言外の痛みを読む力が求められる日本の看護 |
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今回の研修で、最先端の医療・看護を見せていただき、今自分のいるところの利点・欠点を再認識することができました。また、精神文化的な側面でも大変学びになりました。今後の仕事に活かしていきたいと思います。大変貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。 |