D千葉県がんセンターを訪問

相談支援センターのピアカウンセリング
がん体験者が相談員(ピアとは仲間のこと)

チーバくん千葉県がんセンターでもう一か所気になっているところ。すりガラスで仕切られた電話ボックスみたいなブースを見かけたんだ。「ほっとステーション」って書いてある。
さっきは、扉が閉まっていて様子が分からなかったんだけど、あそこをちょっとのぞいてみよう。



あ、今は扉が開いているよ。トントン。こんにちは。

齋藤とし子さん:どうぞ中にお入りください。ピアカウンセラーを担当している齋藤です。

チーバくん:とっても優しそうな方が笑顔で迎えてくれたよ。なんだか、ほっとした気持ちになってきたね〜。
  ここはどんなことをする場所ですか?

齋藤さん:がん患者さんや、ご家族の方の悩みに耳を傾ける相談コーナーですよ。私はピアカウンセラーっていって、がん体験者の立場で患者さん方に接しています。

チーバくん:がん体験者ってことは、齋藤さんもがん患者さんだったんですか?

齋藤さん:そうなんですよ。ここでは今、二人のがん体験者がカウンセラーとなって相談にあたっています。病気や死への不安、治療や薬の情報、家族として患者さんにどう接したらいいか・・・など、どんなことでもいい、患者さんやご家族が自分の気持ちを吐き出せる場所にしたいと思っています。

チーバくん:齋藤さんはどうしてピアカウンセラーになろうと思われたのですか。



齋藤さん:私は25年ほど前に乳がんを患いました。当時は、まだまだ情報も少ないし、がん告知という考え方も乏しく、飲んでいる薬もよく知らないままで私自身とっても不安な治療の日々を送っていたんです。そんな時にね、「あけぼの会」という乳がん患者の会に参加して、そこでほかの患者さんの話を聞いたり、自分の病気のことをほかの方に聞いてもらったことでずいぶんと気持が楽になった経験があるの。自分の病状のことはもちろん、その時、私にはまだ子育て中の子供が三人いたので家族のこともとても心配でした。でも、患者さん同士の会話や会の活動を続けることで私自身「がんに負けない」という思いも強くなったし、何より元気になりました。その体験が、今度はピアカウンセラーとして今、病気と闘っている患者さんを少しでも元気にしてあげたいという思いにつながったんですね



患者さんのつらい思いに共感、受け止める

  

チーバくん:がん体験者だからこそ共感できる気持ちがありますよね。相談にあたるうえで、どんなことに配慮されていますか?

齋藤さん:そうですねぇ。中には先生から告知されたばかりの患者さんが来られることもあります。涙を止められずにいらっしゃるご家族の方もいます。私の立場としては、まずは、相談者の思いを黙って聞くことに徹しています。胸のうちにたまったものを吐き出すだけでもずいぶん楽になるからです。患者さんの中には、治療について主治医の先生に質問していいかどうかを迷っている方もおられるので、そういう場合は先生とのコミュニケーションの取り方をアドバイスすることもありますよ。

 

チーバくん:主治医でもなく家族でもない、第三者という立場のピアカウンセラーに話を聞いてもらうことで患者さんが心の整理をする場所なんですね。


齋藤さん相談に来られた方がほんの少しでも笑顔を見せてくれると私も本当にほっとします。やはりがんは体験した人でないと分かり合えない、やり切れない苦しみや不安がありますから、そういう方のために少しでもお役に立ちたいです。このような相談コーナーが病院内にあるということは、患者さんやご家族にとっても心強いことですね。

チーバくん:県がんセンターの相談コーナーは正式には患者相談支援センター」といって、ピアカウンセラーのほかに看護師、メディカルソーシャルワーカー、臨床心理士、図書館司書などもスタッフとして加わってるんだって。患者さんが自分の聞きたい、聞いてもらいたい内容に合わせて相談相手を選べることも大きなメリットだね。

今日の千葉県がんセンターの訪問はこれでおわり。治療を続ける患者さんの生活の質を上げるための仕組みや支援スタッフが整っていることが分かったよね。さっそくよもやま博士に報告しなくちゃ。