【ステイin千葉も楽しもう♪】千葉市中央区の千葉市美術館。時間と移動を織り込んだ紙作品…斬新なデザインは驚きの連続。「こんなの見たことない!」感覚がインスピレーションを刺激する。
この企画ではおなじみの千葉市美術館。2024年9月から始まった企画展はこれまでにない斬新さで、頭も心もわしづかみにされますよ。「Nerhol」(ネルホル)というアーティストデュオの二人による作品展「水平線を捲(めく)る」。作品の特徴は、正直言葉では表現し尽くせません。水に濡れてしまった写真?熱で半分溶けちゃった?それとも私の頭が変になっちゃった?ーいろいろな妄想が次々と頭をよぎります。最初はただただ驚くばかりですが、慣れてくると、ネルホルの二人のアイデアや発想の源に触れ、過去にタイムスリップしたような、未来にワープしたような時間と空間を自在に操ることができているようなエネルギーが道ち溢れてくることに気づきます。皆さんもそんな非日常の体験を味わってみませんか。千葉市美術館と言えば当法人常任理事の大西眞澄さんです。大西さんの写真とエッセイでお楽しみください。
Nerhol 「水平線の捲る」
2024年9月6日(金)~11月4日(月・祝)
千葉市美術館 公式サイト
「えっ!これは何?」の連続
気分転換に、千葉市美術館に行ってきました。新しく始まった企画展は、斬新で驚きの連続!でした。「エッ これは何?」「厚みのある作品の正面から、斜め横から、下から眺め」「 こんなの今まで見たことない!」「時間を封入した半立体の作品の数々」
「作品の前に立つと、不思な感覚になり、その場を離れられなくなる」。
今回の企画展のネーミングは「水平線を捲る」。宇宙空間と地球の境目は本来“線”はないはずのものですが、過去、現在、未来という見えない時間軸を可視化する意味を持ったものとして捉えた。一日一日区切りをつけて、紙をめくるように一歩ずつ進んでいく人間の命そのものです。
アートデュオNerhol(ネルホル)の二人。彫刻家の飯田竜太さん(左)とグラフィックデザイナーの田中義久さん(右)Nerhol(ネルホル)とは、紙と平面的構成によるグラフィックデザインを行う田中義久(1980–)と、紙や文字を素材とする彫刻家の飯田竜太(1981–)により2007年に結成されたアーティストデュオです。人物の連続写真を重ねて彫る初期のポートレートから、 帰化植物*や珪化木*、アーカイブ映像まで対象を広げ、独自の世界観を深化し続けてきました。2012年に発表された人物を数分間撮影し、出力された200枚のカットを重ね、彫刻を施したポートレートシリーズで大きな注目を集めました。写真と彫刻を往還する独自の表現を通じ、現代的な視点から人間社会と自然環境、時間と空間に深く関わる多層的な探究をしています。写真と彫刻、自然と人間社会、見えるものと見えないものといった複数の境界/間を、日々の会話のように行き来して紡がれてきた作品は、私たちを多様な解釈へと誘います。(千葉市美術館ホームページより)
写真撮影許可された作品から、いくつか作品を紹介します。
200枚の紙を重ねて彫った“彫刻”
サークル
哲学的なメッセージを強烈に放っていた黒い丸を描いた作品。なんと200枚の紙を重ね、分厚い板のように見立て、それを彫りこんだものだ。一枚一枚の紙が少しずつずれた格好で重なっており、細かい筋が浮き彫りとなった黒い円は筆で描いたようにも見える。
ポートレート
連続写真や画像を重ねるようにして組み合わせた人の顔。表情を変えずじっとしているように思う瞬間も実は様々な動きをしていると腑に落ちる。繊細な感情があり、頭で様々なことを考えている、そんな人間の営みを切り取ったような作品だ。
人の移動によって持ち込まれた帰化植物
植物をとらえた作品。地に根を張り、風に身をゆだねる、しなやかに生きる植物の生き様を表す。コロナで様々な動きを止めざるを得なかった近年。「移動」という概念を改めて捉え直すというメッセージが込められている。
彫った紙の端に彫刻刀が当たった細かい白い筋がついており、それがあたかも陽の光を受けてキラキラと輝いているように見えます。よく観察すると、紙の端が少し捲(めく)れており、花を立体的に見せる効果もあり、一枚一枚めくることで時の流れを感じさせ作品に奥行きを持たせています。
植物の麻「ぬさ」を織り込んだキャンバス
植物を織り込んだキャンバス制作もテーマにしている。現在、千葉で採取した蓮を練り込んだオリジナルの和紙を制作中だという。
1階さや堂ホール
オオガハスの枯葉を練り込んだ和紙を広げ
1Fさや堂ホールは、黄色い和紙で床を覆い尽くされていました。イチョウの葉か何かの枯葉かな?と思ったのですが、良く見るとすべて紙です。オオガハスの黄色くなった枯葉を練り込んで作った和紙だそうです。彫刻で彫った際に出た紙粉とのこと。「歴史あるさや堂ホールを内包した千葉市美術館、そして2000年以上前の種から再生したオオガハスと大きな時間軸の流れを感じてほしい」というメッセージが込められているそうです。
5階 常設展の一部紹介
明治の頃の白衣の看護師さんや、母と子の姿が描かれたものがありました。 また、浮世絵版画「多色摺体験スタンプ」は、『三代歌川豊国』さんのものでした。