【ケアフード】2019.3.9 「自分らしく工夫して食べる」調理講習会に参加。黒こしょうに嚥下促進効果!
トマトはジュレ、ご飯はオイルで柔らかく
飲み込みやすく、栄養もちょこっと意識して食べる
市民グループ「金平糖」、食をテーマに講習会
「いつでも、どこでも、自分らしく食べたい!」
市民グループ「金平糖」による、療養中も、介護が必要になっても食事を楽しむためのちょっとした工夫について考える調理講習会が3月9日、千葉市中央区のパルシステム千葉パルひろばちばで開かれました。ご飯やサラダ、おかずをほんのひと手間で、やわらかく飲み込みやすいものにするオイルやパウダーが紹介されました。
まずは白ご飯。炊き上がったご飯と水を鍋に入れて煮ます。ここまでは通常の軟飯と呼ばれるものですが、ここに栄養カロリーを含んだ油(日清MCTオイル)とパウダー(日清MCTパウダー)、プロテインパウダーを加えていきます。油といってもさらっとした感触で、白ご飯にすぐになじんでいきました。無味無臭で味にも変化なし。エネルギーは、茶碗一杯分の軟飯で305kcalまでアップされます(タンパク質5.8g、脂質14.6g)。白ご飯ばかりで、おかずが苦手という高齢者や療養者も多いことから、白ご飯だけでも栄養が摂れるようです。
続いてトマトのサラダ。トマトジュースにソフティアというゲル化する粉を混ぜて熱し、ゼリーカップに流し入れて、冷蔵庫で固めるだけです。食べる時に、お好みでドレッシングをたらします。
そして、ふき味噌。採れたての旬のものフキノトウを存分に味わえるレシピです。フキノトウはさっと茹でてから、細かく切っておきます。味噌、エゴマオイル、黒砂糖、酒、みりんを合わせてタレを作ります。フキノトウと和えていただきます。繊維質の多い山菜も細かくし、とろみのあるタレで和えれば飲み込みやすくなります。
食事作りは毎日のこと。手間をかけすぎても疲れてしまいます。かといって同じものばかりを食べていては、栄養面でも偏りますし、楽しみも生まれません。季節の味や香りを楽しみながら、そしゃくや嚥下の負担を少なくして食事できるのが理想です。ゼリーにしたり、タレを使ってまとめたりすることでぐっと食べやすくなります。
黒コショウの香りで誤嚥予防!
姿勢、免疫力、筋力、口腔ケア…誤嚥性肺炎の予防法いろいろ
調理実習に続いて、嚥下についてのお話を聞きました。
高齢になるとどうしても弱くなってくる嚥下力。誤嚥の結果、食べ物が気管から肺に入り、誤嚥性肺炎を起こす危険性も高まります。誤嚥を防ぐにはどうしたらいいか、カンナ訪問看護ステーションの言語聴覚士の藤崎笑子さんに教わりました。
食べやすく調理をすることはもちろん、食べる時の姿勢も大切です。自分で食べられる場合は、いすにすわって90度に腰をしっかり立てる。ベッドに横になっている場合は、ベッドを30度上げて、あごを指3本分上に上げるようにするとしっかり飲み込めるそうです。足も、宙に浮いた状態ではなく、しっかり台に乗せてふんばれるようにすることも姿勢を整えやすく、スムーズな嚥下を促すそうです。
そして、アロマテラピーで、黒コショウの香りをかぐと飲み込む動作が増えて、誤嚥を防ぐ効果があるとのこと。ペンダントの中に黒コショウを忍ばせて、食事時に香りを感じながら食べるといいそうです。くしゃみだけではなく、飲み込みも促す効果があるとは驚きでした。
しっかりむせることも必要
嚥下がうまくいかなかった時に、しっかりむせることも大事だといいます。介助者が背中をたたいて肺に行きそうな食べ物を戻し、水などを含ませて食道の方に流すという対応をすることで肺炎を未然に防ぐことができます。そして、普段からしっかり食事で栄養を摂って免疫力をつけて肺炎を防ぐ、口腔ケアで口の中を清潔にしておくことなども基本的ながらも誤嚥性肺炎を防ぐ重要な要素です。
トロミやきざみなどの加工も、食べる患者さんや高齢者に合った形状になっているか都度確認する必要があります。固体と液体が混ざったものやばらつきやすいもの、酸味などの刺激が強いもの、乾燥しているものも飲み込みづらいことが多いようです。
看取りの食卓も笑顔で
この日は、調理&食事の後、栄養士の國吉淳子さんが高齢者の食卓をテーマにお話ししました。障害者や高齢者の施設で、長年栄養士として利用者さんの食を支えた経験をもとに、季節の味を楽しんでいただく工夫についてのエピソードを紹介しました。線維の多いフルーツはジャムにしたり、とろみ剤の代わりにご飯を使ったりしているそうです。また、看取りの時期の食事は、シャーベットを口に含ませて味を楽しんでいただくこともあるそうです。