【肝友レポート】ウイルス性肝がん、重度肝硬変患者への救済についての国会請願が採択。治療・支援の仕組みが前進へ。元千葉肝臓友の会・村田会長から報告レポート
ウイルス性の肝がん、重度肝硬変の患者さんへの救済支援が前進
6月の国会請願が衆参両議院で満場一致採択
田村憲久厚労大臣に要望書も提出
肝炎、肝臓がん、肝硬変などの疾病に悩む患者さんへの支援と制度の拡充を求めて国会、都道府県等への精力的な請願活動を進めてきた千葉肝臓友の会。今年3月末に解散しましたが、村田充元会長をはじめメンバーの中には、引き続き患者さんのために個々人での地道な活動を続けている方もいます。今回は、日本肝臓病患者団体協議会の常任幹事も務めている村田さん(当NPO法人会員)より国会請願の成果と、肝がん、重度肝硬変をめぐる現状と課題についてのレポートをいただきましたので、お伝えします。
日本肝臓病患者団体協議会
常任幹事 村田 充
(元千葉肝臓友の会 会長)
皆様のご協力をいただき、今年も6月に国会請願活動を実施しました。結果、衆参両議院で満場一致で採択され、ウイルス性肝癌と重度肝硬変患者の救済支援制度が大きく前進しました。
平成21年12月に成立した肝炎対策基本法の前文には「B型肝炎及びⅭ型肝炎に係るウイルスへの感染については、国の責めに帰すべく事由によりもたらされ、またはその原因が解明されていなかったことによりもたらされたものがある。」と記載されているように、多くの感染者は過去の血液行政や医療行政の不具合により感染し発症しています。
現在の慢性肝炎患者は、我々の長年にわたる国会請願活動等の患者救済活動と医薬の進歩により、慢性肝炎の内に早期発見・早期治療すればほとんど完治する時代となりました。しかし放置していますと肝硬変・肝がんへと進んでしまいます。そこで我々全国の肝臓病患者団体・日本肝臓病患者団体協議会として、このウイルス性肝癌と重度肝硬変患者の救済支援活動を継続して実施しているところです。
今回の国会請願採択項目
- ウイルス性の肝がん・重度肝硬変治療研究事業の対象者を実態調査の結果を踏まえて、速やかに検討し対処して下さい。
- 肝炎ウイルス検診や陽性者フォローにおいては、都道府県・自治体の均てん化を図り、職域での実態を把握し、全国の病院・医院の他診療科での肝炎ウイルス陽性者を治療に繋げて下さい。
- B型肝炎ウイルスを排除する治療薬の研究開発をいっそう促進して下さい。
肝癌・重度肝硬変とは
肝癌及び重度肝硬変(非代償性肝硬変)は、慢性肝炎、肝硬変(代償性肝硬変)を経て進行して行く一連の病態の最終段階とされ、その多くは肝炎ウイルス(B型・Ⅽ型肝炎ウイルス)が原因です。肝癌の発生率が高く、長期的に治療を繰り返すことが多く、重度肝硬変では、肝性脳症、食道・胃静脈瘤、特発性腹膜炎等の治療をします。
現状での治療費助成制度は
年間3回の高額医療制度を利用し入院治療された患者に対し、4回目からの治療は個人負担1万円のみで、治療が出来る。(但し、年収が370万円以下が対象)。厚労省は、毎月7,228人の患者が出ると推定し予算計上するも、実績は60人のみで認定基準が厳しすぎるため、わずかであった。
令和3年度からの新規治療費助成制度は(予定)
厚労省は来年度も今年度と同じ毎月7,228人分の予算を計上の見込み。
- 年間2回の高額医療制度を利用し入院治療された患者に対し、3回目からの治療は個人負担1万円のみで、治療が出来る。(但し、年収は370万円以下が対象)
- 分子標的薬による治療が通院であることに配慮して、通院治療もカウントする。
9月30日、新・田村厚生労働大臣と面談
要望書を提出し、さらなる理解を求める
日本肝臓病患者団体協議会として、9月30日(水)16時から約45分間にわたり田村厚生労働大臣と面談を致しました。この面談には健康局長の正林督章氏、肝炎対策室長の丸山浩二氏の他事務局員5名も参加しました。
我々、日本肝臓病患者団体協議会としては、この改訂でも7,228人の毎月の達成は難しいのではとその先を見越し、年間に2回の治療対象を、累計カウント方式とした認定基準の緩和の要望書を提出しました。(例えば昨年10月に1回治療し、今年の5月にも治療をした場合も累計カウントする。)これに対し、田村厚生労働大臣からは「皆さんの要望は理解しましたが、先ずは2年間の実績を見た上で検討します」との約束をいただきました。
上記の活動に加えて、関連する治療薬の開発の促進も併せて強く要望して参りました。
以上 活動報告といたします。
※このレポートの内容についてのご質問やご意見は、元千葉肝臓友の会会長の村田充さんまでご連絡ください。
肝炎、肝がんの治療や療養生活についての相談も受け付けています。
村田さん:090-2565-6125