【骨・軟部腫瘍研究基金】骨肉腫の悪化を抑制する治療薬候補「PX-12」を検証。転移性脊椎腫瘍への早期手術の試みなど報告。千葉県がんセンター整形外科・木下英幸先生
「骨・軟部腫瘍研究基金」事業で、研究に取り組んでいる千葉県がんセンター整形外科の木下英幸先生より、最先端の治療や研究についてレポートをいただきました。2021年度の研究成果と今後の展開について、図や写真を織り込みながら丁寧に記しています。各研究の成果を英文論文等にまとめ発表されています。
骨肉腫の治療について、骨肉腫の酸化還元反応(レドックス制御)に着目し、レドックス制御の最重要分子チオレドキシンの阻害剤「PX-12」の効果を検証しています。このPX-12が、骨肉腫の悪化を抑える薬剤候補になりうるという見解を示しています。また、転移性脊椎腫瘍は背中の痛みや麻痺、膀胱直腸機能障害を引き起こす危険性があり、できるだけ早期の手術を実施。患者さんのQOL、生命予後に大きく影響する歩行能力を術後にできるだけ獲得できるような治療に取り組んでいることも強調しています。ほかにも多くの研究内容と成果が盛り込まれていますので、ぜひご一読ください。
2021年度 「骨・軟部腫瘍研究基金」助成研究プロジェクト(PDF)
千葉県がんセンター整形外科医長 木下英幸
研究1:骨肉腫の腫瘍進展におけるレドックス制御の解明
研究2:転移性脊椎腫瘍に対する椎弓切除術の術後歩行再獲得予測因子の検討
研究3:当院における軟骨肉腫の術後予後不良因子の検討
研究4:上腕骨近位部骨・軟部肉腫に対するClavicula Pro Humero(CPH)再建術の術後成績
NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉の「骨・軟部腫瘍研究基金」事業は、平成23年度に設立しました。骨肉腫を中心に、整形外科の先生方による最先端の治療や研究に助成し、研究成果や最新情報の発信を続けています。患者さんやご家族、この研究事業を支援したいという一般の方からのご寄付をいただき運営しています。その思いを受け継ぎ、医療の進展に少しでもお役に立てるよう進めて参ります。