【ケアフード】2010.12.8 患者さんとみんなで楽しむクリスマス会 ケアフードランチパーティーを開催しました。50種類のケアフードを堪能。患者さんと家族が食事を楽しむ。

2010年12月8日(水)
「患者さんとみんなで楽しむクリスマス会」
飲み込みやすく、おいしい食事
「ケアフード」50種類、通常食との食べ比べ
ホテルメロトポリタン・エドモント「フォーグレイン」にて

NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉は、12月8日、東京都飯田橋のホテルメトロポリタン・エドモントのフレンチレストラン「フォーグレイン」にて、ケアフードのランチパーティーを開きました。68名の患者さんやご家族が参加され、療養中でも食べやすくおいしいケアフードの食事を楽しみました。

患者さんからいろいろな種類のケアフード、飲み込みやすいおいしい食事を食べてみたいという要望が多く寄せられたのをきっかけに企画しました。NPO法人・医療福祉ネットワークが食事代を補助する形で、ケアフード考案の石原シェフのレストランにて、当初予定の40人を大きく上回る68人が参加。通常の食事とそれをピューレ状や柔らかく調理したケアフードと合わせて50種類のバイキング形式で提供しました。

噛めない、飲み込みづらいなどの症状で普段食べられないことが多い野菜類、肉類、魚介類、パンなどを風味を生かしながらトロトロに調理したケアフードで提供。ピューレのほか、ぞうすいやソース、ムースなどあらゆる調理法でアレンジしたものをご自身で皿にとり、自分で混ぜるなど「調理して」召し上がりました。ご家族も通常の食事として食べられるということで、患者さんもご家族もみんなで食事を楽しむことができました。

治療中だとなかなか家族みんなで外食に出かけることもないという方も多く、リフレッシュや家族の団らんを生み出すきっかけにもなったようです。

当日の様子は産経新聞、がんサポートなどに取り上げられました。参加した皆様の笑顔、お料理を紹介します。

25種類のケアフードと通常食の食べ比べ

フレンチの手法を使ってアレンジした新しい流動食「ケアフード」。ムースやジュレ、ピュレなど食感もやわらかく、素材の味もしっかりと味わえる調理法です。ホテルメトロポリタン・エドモント フレンチレストラン「フォーグレイン」料理長の石原雅弘シェフ考案の25種類のメニューがケアフードと通常食でそれぞれ並び、ブッフェ形式でいただくことができる贅沢な企画となりました。前菜からメイン、デザートまで一つひとつのお料理に舌鼓を打ちながらじっくりと味わいました。

メニュー:

・帆立貝のマリネ
・イカのマリネ バジルとグリーンオリーブ風味
・南フランス風タラのブランダード
・エビのチリソース煮
・黒毛和牛の赤ワイン煮込み
・カルボナーラ風パスタ
・野菜のピュレ(ニンジン、ゴボウ、カボチャ、サツマイモ、ジャガイモ、ブロッコリー、タマネギ)
・アールグレイのムース
・洋ナシとフランボワーズのソルベ
・木苺とドライトマトのヴィネグレット
・トマトの冷たいスープ
・白身魚のゆずみそ風味焼き
・若鶏の照り焼き風
・鶏雑炊(青のりソソースとひじきのソース)
・パン(ハチミツ風味)
・キャラメルとバナナのムース
・各種フルーツのクープ

各種野菜のピュレ。ジャガイモ、ニンジン、紫イモ、タマネギ(奥の列がケアフード)

カボチャ、鶏のだしで味をつけたゴボウ、ジャガイモ(奥の列がケアフード)

若鶏の照り焼き風、白身魚のゆずみそ風、カルボナーラ風パスタ(奥の列がケアフード)

黒毛和牛の赤ワイン煮込み(右がケアフード)

エビのチリソース(右側がケアフード。海老をすり身状にしてあり、口の中で柔らかくとける)

青のり、ひじきのソース。雑炊にお好みでかけていただく。

ケアフードについて丁寧に説明する石原シェフ(左側)

お料理をていねいにサーブしてくれたサンタクロース

 

患者さんもご家族もみんなで過ごした楽しい時間

今回、患者さんやそのご家族、ご友人同士に加えてマスコミ関係の皆様約65名の方が参加されました。石原シェフをはじめ、医療関係者や、看護師、栄養士などなどの皆様も交え、多方面にわたる語らいが繰り広げられました。ごあいさつをいただいた皆さまのお話をまとめました。

石原 雅弘シェフ
(ホテルメトロポリタン・エドモント フレンチレストラン「フォーグレイン」料理長)

お料理の説明、作り方を中心にお話をいただきました。

「裏越しをしなくても柔らかいピューレができます。エビのチリソースのソースや煮物の汁などお好みの味をあとから加えて調節してください」

「ご家庭で作るポイントは、ミキサーが回るギリギリの状態まで水分の量を抑えることです」

 

竜 崇正氏(NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉 理事長)

「ケアフードの輪が広がれば、日本の多くのがん患者さんや苦しんでいる人が食事を楽しみながら生活ができると思う」

「今後は、医学的なアプローチをしながらこうした食べやすい食事のことを研究していきたい。治療しながら楽しんで生きることが一番大事ですからね」

尾崎 靖氏(小学館 ライフスタイル誌編集局戦略室編集長)

石原シェフが最初にケアフードを考案した経緯を説明されました。料理研究家・辰巳芳子さん、作家・池波正太郎さんの書生をされていた文筆家の佐藤隆介さんとの打ち合わせでレストランに訪れたのがきっかけ。

石原シェフは、美食家でもある佐藤さんがこの時胃がん摘出直後で思うように食事ができず辛い思いをされていることを知り、お料理を素材ごとにミキサーにかけてアレンジしたものを提供され、三人で同じものをいただいた。佐藤さんは「生き返った!」と感激されたという。

「本当の“美味“とは何か、命が喜ぶ食事とは何か考えることができた。ケアフードは、石原シェフの思いやりから生まれた食事です」

石見 雅美さん(乳がん患者さん・ケアフードのファン)
川上 祥子さん(NPO法人キャンサーネットジャパン広報担当理事・看護師・保健師)
鈴木 百合子さん(医療ジャーナリスト)

ケアフードをがん患者さんに広く紹介するきっかけを作りました。「患者さんは社会に戻って、がんと向き合いながら毎日生活している。ところが、一日三回の食事はとても重要なことなのに病院でも退院後も重要視されていない。ケアフードのスピリットがもっともっと普及してほしい」

「4年前に乳がんになった。抗がん剤治療を続けているが、歯と歯茎がやられて食事が入らなくなる。しゃべる振動でも口が痛くておかゆでも噛めないが、ケアフードは振動を感じずにのどまで食べものを送ることができる。栄養もとれるし元気になれる。」

笑顔あふれる会場

 

普段はそんなに食べられなくても、みんなで食事をすると、意外と食べられるんです。自分だけ別に用意された“療養食”ではなくて、誰が食べても美味しい食事を一緒に食べられる。それがケアフードの魅力です。

ケアフードはすべてのがん患者さんのもとに届きますように。毎日、美味しい食事を楽しめる生活が送れますように。