【気になる一作・本】「新型コロナの科学」黒木登志夫(中公新書) 新型コロナを知るための必読書。膨大な情報をコンパクトな読み物に。

新型コロナの治療薬、ワクチン開発研究の最前線が分かる
世界中を巻き込んだプロセスと、それを追う人々のドラマ、各国政府の対応まで詳細に
数理的なデータ解析と症例・論文に基づく分析で、医学的、科学的センスも磨かれる貴重な一冊

日本を代表する医学者でサイエンスライターの黒木登志夫先生(日本学術振興会学術システム研究センター顧問、岐阜大学・東京大学名誉教授)の新刊著書「新型コロナの科学」(中公新書)が発刊されました。2019年12月、中国・武漢で発生後、世界を巻き込んだミステリアスなウイルスのメカニズムと、感染症としての特性、治療法、予防ワクチンまで、数理的な分析を加えながら丁寧に解説されています。新型コロナについてのみならず、感染症を考える際の着眼点、医学的なものの見方についても触れられており、読み通していくうちに、医学や科学のセンスも磨かれていくという貴重な一冊です。詳細な解説のほか、罹患した患者さんをはじめ治療やケアにあたる医療者の物語にも触れられており、黒木先生の温かいまなざしが伝わってきます。

 

今さら聞きにくい素朴な疑問に納得の解説
「そもそもウイルスって何? 細菌との違いは?」
「飛沫とエアロゾル何が違うの?」
「PCR検査では何が分かるの?」
「日本人の死亡者が他国より少ないのはなぜ?」

本の紹介を続けます。未曽有のパンデミックとなった新型コロナウイルス。テレビなどで報道される感染者数に振り回される日々を送るうちに本質をつかむタイミングを逃していませんか。感染症が人類を襲ったのは今回に限りません。ペストやスペイン風邪、SARS、MARSなどこれまでの感染症の歴史とその特性、今回の新型コロナとの違いも押さえています。そして、「そもそもウイルスって何?」「PCR検査では何が分かるの?」など、誰もが一度は疑問に思う素朴な質問にも丁寧な解説が加えられています。

iPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥先生が推薦の言葉を書かれています。山中先生が発信しているwebページ「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」の中でも黒木先生のコロナ解説「コロナウイルスarXiv」を取り上げています。

山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信
「黒木登志夫先生の解析」

当NPO法人の竜理事長は、黒木先生と医療者・科学研究者として長年親交があるほか、山スキーの仲間としてともに活動する間柄です。40年以上続いているという富山の立山スキーセミナーは、昼はスキー、夜はがん医療の勉強会をするユニークな企画で、ユーモアと知識あふれる黒木先生を囲みながらの楽しく有意義な時間を過ごしてきたとのことです。

黒木登志夫先生の「新型コロナの科学」ぜひお手に取ってみてください。