【Dr.竜の診察ノート】医療崩壊の中、感染しても自宅待機。死を避けるために皆でワクチンを打とう

感染力の強い「インド型ウイルス」、若者も重症化
感染拡大防ぐため若者ヘのワクチン接種を

変異型ウイルスは、イギリス本土と同様に日本でも、イギリス型からインド型に置き換わりつつある。インド型は更に感染力が強く、死亡率も高いので注意が必要だ。今まで重症化しないとされてきた22歳の若者が相次いで亡くなったニュースは衝撃だった。

浦安ふじみクリニックを受診したCOVID-19患者40人中、10代は3人、20代は13人、30代は7人、40代が6人、50代が8人で、60歳以上は3人と少なかった。この3人も若者からの家庭内感染だった。実に57.5%が30代以下の若者だった。マスコミのミスリードで、感染しないとされていた若者が感染を広げていたのだ。若者にワクチンを打たない限り、感染は制御できない。若者に打てるのは何時になるのだろうか。

ファイザー製ワクチン、変異株にも有効

日本で接種されているファイザー社製ワクチンの有効性を示す論文が発表された。有効率はイギリス変異株に対し、2回目接種後14日以上で89.5%、南アフリカ変異株は75.0%だった。特に重症、致命的な病態に対し、2回目接種後14日以上での有効率は97.4%と高かった。インド型変異株に対する有効性の検討はまだないが、横浜市大の報告では中和抗体の陽性率が低下するような傾向は見られなかった。

現在、医療情勢は逼迫し、COVID-19感染者は入院できる状態にない。ホテルや自宅待機となり、指定感染症のため保健所管轄になる。だが保健所は患者治療の場所ではなく、患者は極めて危険な状態になる。

一例を示そう。当院に4月27日来院した37.5度の熱で来院した53歳の患者は、入院できず自宅待機になった。翌日熱が38度以上になったが、保健所の指示はなく、家族からの連絡で緊急入院させた。入院後、肺炎の診断で直ちに気管内挿管し、人工呼吸器に2週間繋がれ、辛うじて治癒した。

ワクチン接種

医療情勢逼迫で入院できない今、感染したら直ちに命の危険が迫るのが現実だ。一刻も早くワクチンを打とう。

※「Dr.竜の診察ノート」はNPO法人医療・福祉ネットワーク千葉の竜理事長が、浦安市の市民新聞「うらやす情報」に寄稿したものを発行後に編集して掲載しています。