【ステイin千葉も楽しもう♪】千葉市美術館で京都に生きた陶芸家・彫刻家 清水九兵衛の初の回顧展を堪能
清水九兵衛氏は日本における抽象彫刻の第一人者です。現代的、近未来的な彫刻作品を生み出す一方、清水焼の名家として知られる清水六兵衛の名を襲名して陶芸家としても評価されています。近代彫刻と伝統的な焼き物の世界を極めた清水九兵衛氏の初回顧展が千葉市美術館で開かれています。(2022年4月13日~7月3日まで)
また、千葉市美術館の一階さや堂ホールでは、関連展示として京都を拠点に活躍する若手陶芸家の清水宏章氏による作品展「朱」が同時開催中です。(2022年4月13日~5月19日)
いつ訪れても見る人を刺激する千葉市美術館。2020年に新しく生まれ変わってから、作品展のジャンルやコンセプトがさらに幅広くなったように思います。今日は、美術館巡りを楽しむ大西眞澄さんと一緒に開館直後の展覧会巡りをしてみましょう。
千葉市美術館
清水九兵衛/六兵衛の初の回顧展
開館直後の凛とした空気を感じながら
(写真・文 大西眞澄(NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉常任理事/元千葉県がんセンター看護局長))
先日、千葉市美術館に行ってきました。そこは、ボーっとした日常の中にいる私自身の刺激になる場所です。
企画展は、生誕100年を記念して、彫刻と陶芸という二つの表現領域で活躍した「清水九兵衛/六兵衛」(1922-2006)の初めてとなる回顧展でした。
開館直後の展示室の空気に触れたく、一番乗りしました。
案の定、なんと表現してよいか言葉が見つかりませんが、凛とした重厚な作品の数々でした。
写真を撮ってよいと許可された彫刻の部屋があり、下記はそこで撮ったものです。 作品が置かれている位置は、ここしかないと感じられる配置で、作品同士がコラボしているように感じました。
1980年代以降の彫刻作品
アルミニウム板を主な素材として使っているとのことで、機械的で無機質なテイストを醸し出していました。一方で、曲線や傾斜を持たせた壁や屋根が動きややわらかさを生み出しており、人の呼吸や動きにも感じられる不思議な作品でした。鮮やかな朱色が、平安京時代の京の都の華やかさ、清水寺の仁王門の存在感も思い起こさせました。
彫刻/陶芸/写真
「京空間」と“CORRESPOND”
関連展示 清水宏章展「朱」
1階 さや堂ホールにて
清水宏章は、1986年に京都で生まれ。京都を拠点に活躍する若手陶芸作家です。関東での初個展で、近年取り組む「赤」というテーマをより進化させた、最新作の陶芸作品展です。器や皿の形の斬新さ、作品の表面に描かれている細かい幾何学的な模様など、清水氏の作品と向かう真摯な姿勢がにじみ出た作品ばかりでした。「朱」というテーマですが、作品には深紅から薄い桃色、薄墨いろまでグラデーションがあり、清水氏は「使う上でいろんな意味で難しい」と表現している赤が見せる様々な表情を味わうことができました。
さや堂ホールの床面に配された作品を眺めてみると、重厚なホールの趣と相まって、ずっと前からそこに作品がおかれていたような気持ちにもなりました。それぐらい、しっくりときているから不思議です。
何度訪れても毎回新しい発見のある千葉市美術館。千葉の街中にあり、誰でも気軽にいけるベストスポットです。
清水九兵衛/六兵衛回顧展 2022年4月13日(水)~7月3日(日)
清水宏章「朱」 2022年4月12日(水)~5月19日(木)