【Dr.竜の診察ノート】千葉県一丸で子宮頸がんゼロを目指す。9月までに1回接種し、公費で3回完了して子宮頸がんを完全に予防しよう。
子宮頸がん、妊娠を機に発見される場合も
日本では子宮頸がんワクチン接種の積極的推奨を2013年6月に中止したため、この10年で「子宮頸がん」は急増し、年間1万2千人が罹患して2千9百人が死亡した。問題なのは、30代から40代の若年者に多いという点である。近年は妊娠出産が遅くなり、妊娠を機に子宮頸がんと診断される例も多い。子宝に恵まれながら、がん治療に苦しむ方も多いのである。欧米ではワクチン接種の普及で「子宮頸がん」は稀な疾患になっている。現在、日本では行政や医学会を挙げての「子宮頸がん撲滅対策」が求められている。
千葉県、子宮頸がんゼロを目指す
そんな中、千葉県産婦人科医学会、千葉県小児科医学会、千葉県保険医協会が、子宮頸がんゼロを目指して立ち上がった。千葉県知事と協力し、ワクチン接種を推奨し、千葉県内の全ての高校に子宮頸がん予防のポスターを配布するなど、啓蒙活動にも力を入れている。現在、中学生になったら子宮頸がんワクチン接種券が送付されてくる。しかし、千葉県では、特に小学6年から高校1年のすべての女生徒と、まだ接種していない17才から27才までの女性に積極的なワクチン接種を呼び掛けている。
9月までに1回目の接種をすれば、すべて公費で、すなわち0円で3回の接種を完了させることができる。ワクチン接種の推奨が中止になったのは、疼痛などの強い副反応報告のためだ。しかし、それらは通常の注射に伴う「接種後有症状」で、重篤な障害ではないと、証明された。接種後に疼痛が出現しても、早期の適切な疼痛対策を行えば問題はない。ワクチン接種で、日本から子宮頸がんを撲滅しよう。
※「Dr.竜の診察ノート」は、NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉の竜崇正理事長が、浦安の市民新聞「うらやす情報」に寄稿したものを発行後に編集して掲載しています。