【千葉県がん患者大集合】2023.11.5 第14回千葉県がん患者大集合を開催。AIを駆使した最新の外科、放射線治療の新しいカタチを紹介。手術支援、助手もロボットで?!

第14回千葉県がん患者大集合2023は、11月5日(日)、千葉市ハーモニープラザとオンラインで開かれました。「ここまで進んだがん治療~医療機器とAIでがん治療の未来を切り開く~」をテーマに、AIやロボットを使った最新の外科手術、放射線治療について2名の医師が講演しました。千葉県がん患者大集合実行委員会が主催し、当NPO法人も共催団体として参画しました。

腹腔鏡術や手術支援ロボット活用で患者さんの負担軽く

最初の講演は、国立がん研究センター東病院大腸外科医長の塚田祐一郎先生。「最新技術による外科治療の新しいカタチ」と題して、腹腔鏡や手術支援ロボット・ダビンチを使った手術の様子を紹介しました。おなかの数か所に開けた穴から器具を差し込んで行う腹腔鏡開腹手術は、開腹に比べて、出血量が格段に減り、術後の回復も早いことやお腹の傷も小さくて済むメリットがあるとのこと。肛門から行う腹腔鏡術を取り入れると、おなかからの手術と二方向から手術ができて、時間短縮や根治性につながることも説明されました。AIを使った手術支援はまだ開発段階ではあるものの、臓器を認識力を上げることで安全な手術につなげられる可能性が大きいこと、医師の手技トレーニングにも活用できることが紹介されました。執刀医が手術中に足で操作できる助手ロボットや、高速通信を活用して医師が遠隔で画像を見ながら指示を出して現場の手術をサポートする遠隔アシスト術はすでに実用化しているそうです。

放射線治療、より正確に効率的に

続いて、国立がん研究センター東病院放射線科医長の全田貞幹先生が、「放射線治療 50年の進歩」と題して講演。放射線治療の歴史を紐解きながら、診断や治療ともに正確かつ効率的に行うことができるようになった経緯を説明しました。1990年代までは2次元治療で、放射線がどのくらいの量が患部に当たっているのか正確には把握できないでいたが、2000年代に入りCTなどを使って3次元で治療できるようになってより正確に照射範囲を決められるようになったとのこと。現在は、CTシュミレーターを使って、リアルタイムで照射位置を確認できるようになり、放射線を当てたくない場所を避ける工夫も可能になったそうです。全田先生は「機器や技術はどんどん進化しているが、それを使いこなすエンジニアも必要。医師や技術者のトレーニングも進めていかなければいけない」と話しました。

このほか、冒頭で熊谷俊人知事によるあいさつ、千葉県健康福祉部健康づくり支援課がん対策班班長の根本絵理子さんによる「千葉県がん患者QOL向上事業」について報告がありました。