携帯電話でカルテ情報を管理できる仕組みの実現へ
産学官による共同研究

 

 

 

患者さんが自分のカルテ情報を自分自身のものとして、携帯電話やスマートフォンなどで管理できる新しい仕組み作りに取り組んでいます。患者さんを中心に、病院や地域の診療所、介護施設などでネットワークを結び、カルテ情報を共有しながら、どこに行ってもスムーズな診療やサービスを受けられるようにするのが狙いです。病院や診療所で何度も同じ検査を受ける必要がなくなり、患者さんの負担を軽減し、ひいては医療費の削減にもつながります。平成22年度に、国のIT戦略本部が「どこでもMY病院構想」を立ち上げたのをきっかけに、千葉を中心に産学官による研究会を発足し、勉強会や実験的な取り組みを進めてきました。

これまでも、大きな病院では病院内で電子カルテシステムを導入しているところもありましたが、病院ごとに仕組みも異なり、患者さんの受診先が変わるとまた一から検査をし直し、カルテの情報を集める必要がありました。また、平成23年3月に起きた東日本大震災では、津波にのまれた病院の患者カルテ情報が一瞬で消失するという惨事も発生。その後の患者さんの診療にも大きな影響を与えました。研究会では、医療・福祉分野のIT化を進め、クラウド上でカルテ情報をうまく管理することで、むしろ患者さんの個人情報を保護することにもつながると考えました。研究会は平成26年度まで9回にわたって開催しました。

主催:どこでもMYカルテ研究会
後援:医療構想・千葉、NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉

浦安市で在宅医療介護連携で実践

その後、平成26年度から、浦安市医師会の地域医療推進委員会が中心となって、医療分野と介護分野の多職種が情報をクラウドに上げて共有できるシステムを作り、在宅医療介護連携の取り組みをスタートさせました。メディカルアイ社の「IPPO」というシステムを導入し、医師や訪問看護師、ケアマネジャー、薬剤師、歯科医師、マッサージ師などの専門職が、それぞれパソコンやタブレット端末から患者さんのカルテ情報に書き加えたり、傷や全身状態の画像情報を載せて、共有しながら患者さんを支えるという仕組みです。患者さん自身やご家族もその情報を見ることができ、治療に主体的にかかわることができるという画期的な手法で、患者さんの生活の質向上や生ききりたいという希望に沿ったケアにつなげることができました。

これまでの活動

平成30年度

  • 論文発表(12月)

「多職種が情報を共有して行う在宅医療介護連携、浦安市医師会の取り組み」
(竜崇正、慢性疼痛vol.37 No.1)

平成28年度

  • 千葉ヘルス財団 平成28年度在宅ケア研修会で講演・パネルディスカッション

在宅での看取り~穏やかな人生の最期を迎えていただくために~
日 時:2016年9月25日
場 所:プラザ菜の花
内 容:
講演・地域の力で看取りを支える―浦安市医師会の取り組み(順風会小林クリニック院長 小林澄子)
講演・暮らしを支える緩和医療(医療法人社団花の谷クリニック院長 伊藤真美)
パネルディスカッション・在宅での看取りができる地域づくり~医療・介護福祉関係者の立場から~

  • 市民のためのがん治療の会 Webサイトシリーズ「がん治療の今」に、竜崇正氏と小林澄子氏の記事「住み慣れた家でその人らしく生ききるー患者さんの情報を多職種がクラウドで共有する在宅医療介護連携の取り組み」が掲載されました(12月)

「がん治療の今」ー住み慣れた家でその人らしく生ききるー患者さんの情報を多職種がクラウドで共有する在宅医療介護連携の取り組み

平成26年度

  • 第8回どこでもMYカルテ研究会

日 時:2014年6月7日
場 所:AP東京八重洲通り
内 容:生活者視点で地域包括ケアを支えるICT
健康・医療・介護情報を地域で統合する
地域包括ケアとまちづくり・ひとづくり
地域での在宅医療・介護情報連携を支えるICT
当日の詳細(医療構想・千葉のサイトリンク)

  • 第9回どこでもMYカルテ研究会

日 時:2014年12月6日
場 所:AP東京丸の内
内 容:地域視点・患者視点で新技術が医療・介護の未来を創る
「どこでもMYカルテ研究会」から「まち・ひと・いのち創生」へ
コミュニティ・ヘルスと地方創生
ICTとロボットが変える医療・介護の未来
当日の詳細(医療構想・千葉のサイトリンク)

平成25年度

  • 第7回どこでもMYカルテ研究会

日 時:2013年10月26日
場 所:東京海上日動火災保険本社新館ビル
内 容:医療と介護の連携は認知症にどう対応できるか、ICTの果たす役割は
当日の詳細(医療構想・千葉のサイトリンク)

  • 市民のためのがん治療の会の医療エッセイ集「がん医療の今 第3集」(2013年9月)に竜理事長の寄稿が掲載されました。

「がん治療の今」ー患者が患者の情報を管理するどこでもマイカルテについてー

平成24年度

  • 第5回どこでもMYカルテ研究会

日 時:2012年6月2日
場 所:東京海上日動ビル新館
内 容:医療・介護・福祉を結ぶどこでもMYカルテ
当日の詳細(医療構想・千葉のサイトリンク)

  • 医療と画像の総合情報誌「INNERVISION」(2012年7月号)に、第5回どこでもMYカルテ研究会の様子が掲載されました。
  • 千葉ヘルス財団 平成24年度在宅ケア研修会にて講演会・パネルディスカッション

地域在宅ケアにおける多職種連携のためのITの利活用~患者情報の共有化を目指して~
日 時:2012年9月30日
場 所:プラザ菜の花
内 容:講演・多職種連携のための在宅医療連携システムの取り組み
講演・多職種がシームレスに連携する在宅医療提供の実践
講演・多職種連携の千葉での実践
パネルディスカッション・多職種連携をいかに行っていくか
平成24年度在宅ケア研修会チラシ(PDF)

  • 第6回どこでもマイカルテ研究会

日 時:2012年10月20日
場 所:TKP東京駅八重洲カンファレンスセンター
内 容:医療・介護情報の透明化と医療イノベーション
地域ICT利活用広域連携事業報告
「がん診療における遠隔がん診療画像システムの有用性」を発表
千葉県がんセンター(竜崇正、浜野公明、高野英行、中川原章)
当日の詳細(医療構想・千葉のサイトへのリンク)

  • 「メディファクス」(2012年10月23日付)にどこでもMYカルテ研究会の様子が掲載されました。

平成23年度

  • 千葉在宅緩和医療推進研究会の発足、参画

日 時:2011年4月25日
場 所:千葉県がんセンター
世話人代表:竜 崇正(NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉理事長)
内 容:「在宅緩和医療における遠隔診療の意義に関する研究」をスタートさせた。在宅緩和医療を受けている患者さんが、遠隔診療を受けることで、患者さん自身やご家族、医療者の満足度が上がり、負担が軽減するかどうかを調べるのが目的。千葉県がんセンターの医療者、県内の診療所、訪問看護ステーションなどが連携し、携帯電話、テレビ電話、インターネットなどの通信手段を用いて、がん患者さんの状態把握、診療を離れた場所で行い、診療情報を多職種が共有しながら緩和ケアを進める方法で行った。国のIT戦略本部、総務省が進めている「遠隔医療に関するエビデンス集」作成にも協力した。

  • 第3回どこでもMYカルテ研究会

日 時:2011年7月7日
場 所:東京都中央区のソトコトロハス館
内 容:「災害時における医療・介護情報ネットワーク
東日本大震災復興に向けて将来医療情報システムを先取りする「どこでもMYカルテ」
現場では何が起こっていたか
将来を見据えた医療情報システムとは
当日の詳細(医療構想・千葉のサイトリンク)
当日のリポート

  • 第4回どこでもMYカルテ研究会

日 時:2011年11月21日
場 所:東京ステーションコンファレンス
内 容:社会保障番号制度の現状と医療情報ネットワークの関係
情報通信改革と医療のIT化の現状
クラウドなどを活用した地域医療情報ネットワーク
患者・ユーザーサイドから見たどこでもMYカルテ構想の利点
当日の詳細(医療構想・千葉のサイトリンク)

  • 「Medical Tribune」(2012年2月9日)にどこでもMYカルテ研究会ついて、竜理事長の記事が掲載されました。
  • 竜崇正氏(NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉理事長)による「どこでもMYカルテ研究会での取り組みについて」
    レポート

平成22年度

  • 第1回どこでもMYカルテ研究会

日 時:2010年7月29日
場 所:千葉駅ビル5階ペリエホール
内 容:我々の「どこでもMYカルテ」と内閣官房の「どこでもMY病院」構想
当日の詳細(医療構想・千葉のサイトリンク)

  • 第2回どこでもMYカルテ研究会

日 時:2010年9月30日
場 所:東京ステーションコンファレンス
内 容:医療とIT技術の未来
電子カルテの現状と問題点―どこでもMYカルテ実現のために
モバイルを使った「どこでもMYカルテ」実現のための技術開発
当日の詳細(医療構想・千葉のサイトリンク)
当日のリポート