【がん講演会】「がんになったから、こうなれた!」と言える人生を歩もう。がん講演会でフリーアナウンサー・笠井信輔さん、力強いメッセージを発信
「がんになっても、良かったこと、できたことを一つでも見つけていこう」
患者さんからどんどん希望や、今の容態の情報を伝えよう
健やかに病と向き合うコツを伝授
フリーアナウンサーの笠井信輔さん
千葉県がんセンターの飯笹俊彦病院長も
千葉 がん講演会オンライン開催
がん検診受診率の低下深刻
2020年、肺がんは前年比32.4%減
毎年9月の「がん征圧月間」に合わせて、「ちからを合わせてがんにうち克つ!!」をスローガンに開かれているがん予防展とがん講演会(主催:千葉県・ちば県民保健予防財団・千葉県がんセンター)。新型コロナの影響で、会場型イベントのがん予防展は中止になり、がん講演会はオンラインでの開催となりました。10月23日(土)~10月31日(日)の9日間配信されたがん講演会では、千葉県がんセンター・飯笹俊彦病院長と、フリーアナウンサーの笠井信輔さんがオンライン上で、コロナ禍でのがん治療の在り方や、患者さんが治療に向き合うコツなどのメッセージを発信しました。
千葉県がんセンターの飯笹俊彦病院長は、「コロナ禍をこえてーがん医療のこれからー」と題して講演しました。新型コロナの感染拡大でがん検診の受診率低下が深刻化しており、例えば肺がん検診は、2019年と比較して2020年は32.4%も受診が減少していることを報告しました。胃がん、大腸がん、乳がんも同様に30%前後の減少。2020年4~5月に至っては、前年比で90%も減少したとのこと。治療の現場の感覚では、進行した状態の患者さんが増加傾向にあることも説明しました。「検診率の低下ががんの生存率や死亡率に与える影響は数年後でないと分からないが、がんと診断される人やがんで亡くなる人の数は新型コロナ感染者より圧倒的に多い。がん対策にも同様に力を入れていく必要がある」と話しました。
がん医療の均てん化と個別高度化がカギ
また、がん診療の流れの中で、発見や診断のそれぞれの場面で患者さんと医療者が考えていることや気持ちを解説し、効果的な治療を進めていく上で、お互いの理解を進めていく必要があることを説明しました。手術、抗がん剤治療、放射線治療、画像下治療(IVR)、がんゲノム医療など、最新の治療法の仕組みや取り組みについても分かりやすく解説しました。がん医療の均てん化と個別高度化を両立させたがん医療の進歩を目指していることを示して、「人口減少の時代であり、限られた医療資源の再分配が課題となっているが、一人ひとりの患者さんに寄り添ったがん医療の提供をしっかりと進めていきたい」と話しました。
がんになった状況を受け止め、できたこと、工夫できたことを見つける
続いて笠井信輔さんは、「悪性リンパ腫≪がん≫ステージ4からの生還」と題して講演しました。TBSの朝の番組「とくダネ!」のキャスターを20年間務め、フリーに転身した直後に血液のがん「悪性リンパ腫ステージ4」と診断されたことを明かしました。「家族のために働くと思っていたが、いつのまにか自己実現のために働いていた。健康も家族も省みなくなっていた」と振り返りました。4カ月半入院し、抗がん剤治療を受け、脱毛や倦怠感、食欲不振などの副作用に苦しんだことも。「抗がん剤治療はタームがあり楽になる時期もあるので、その時がチャンスと思って美味しいものを食べた」と話し、ウナギ弁当や焼き肉弁当などを食べて楽しみながら過ごしたことを明るくユーモアを交えて伝えました。
コロナ禍になってからは孤独な日々だったが、オンラインで家族や同級生とつながり、励まされたといいます。副作用で脱毛もあったけれど、髪質が変わったり、家族が優しくなったなど良かったこともあるとのこと。笠井さんは「がんになったからと言って、悲観しているだけが人生ではない。がんになったからこうなれたという自分を見つけようーと考えていた」とがんになった状況でもできたこと、工夫できたことを見つけながら過ごしたことを説明しました。