【Dr.竜の診察ノート】COVID-19感染、終わりの始まり。今こそ持病治療を優先

新型コロナ、昨夏流行のデルタ株が消えた理由は?
nsp14遺伝子の変異繰り返しで、ウイルスの生存力が低下、自滅

感染力が強いオミクオン株の感染者が減少しているイギリス、アメリカでは感染が人口の0.25%になったところでピークアウトしたので、日本でもピークアウトが近いと期待される。

コロナウイルスは、変異を繰り返しながら、波状的に大流行してきた。日本での第6波は、全て変異した別々のウイルスだったことが明らかだ。第1波と第4波のアルファー株、第6波のオミクロン株は外国から。第2波、第3波、第5波デルタ株(AY・29)は日本独自の変異株である。AY・29は昨年夏、日本の感染者の93%以上を占めた。コロナウイルスは外側のスパイクが変異して感染力を増すが、AY・29は加えてnsp14という修復遺伝子を持つ特徴がある。この修復遺伝子は更に変異を起こしやすい。昨夏大流行したAY・29は8月末から減少し、正月には皆無になった。

何故だろうか? 鍵はnsp14遺伝子である。このnsp14の変異の繰り返しで、ウイルスの生存力が低下して自滅したと考える。2003年に消滅したSARSに関し、SARSウイルスのnsp14に変異を入れたところ、SARSウイルスの100カ所以上に変異が入り、性質が変わり自滅した。

オミクロン株のピークアウト近し
経口治療薬も開発、終息に期待

オミクロン株は昨年11月15日に南アフリカで報告され、本年1月15日には世界150か国に拡散。日本では昨年12月1日に検疫で確認され、水際対策にもかかわらず、2カ月半で国内での感染大爆発となった。第5波までのウイルスは肺に入り込み、肺炎や肺線維化を来す特徴があり死亡率が高かった。現在は、これまで無かった経口治療薬の開発もされており、COVID-19感染の終息は近い。

持病の治療を怠らないように…

現在の死亡者は、高齢者の家庭内感染によりCOPDや慢性気管支炎など慢性肺疾患の悪化や、受診控えによる糖尿病や高血圧などの悪化が主である、高齢者を家庭内から病院に収容しての対策が必要である。コロナ感染を恐れて、持病の治療を怠たらないようにしよう。マスクをし、大声での歓談でなければ、通常の生活に戻せる日も近い。

※Dr.竜の診察ノートは、NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉の竜崇正理事長が、浦安市の市民新聞「うらやす情報」に寄稿したものを発行後に編集して掲載しています。