【Dr.竜の診察ノート】COVID-19 を恐れず、がん検診を受けよう、持病の治療をきちんとしよう

長引くコロナ禍、受診控えが深刻化
がん検診受診率、3割減

COVID-19の感染蔓延が2年を越え、オミクロン株の変異株出現で、感染者が増えつつある。重症化しないとされるオミクロン株でも亡くなる方はまだ多い。それはコロナワクチン未接種者や持病の治療放棄者、そして超肥満の方たちである。

コロナ感染を恐れて、医療機関を受診せず、必要な治療を受けない方達が多い。当院でも受診控えが3割に達している。日本対がん協会では、がん検診受診率が2020年は前年に比して30.5%、2021年も10%減少したことを報告し、がん検診を受けるよう呼びかけている。がん検診では、無症状の早期がんが多く診断されて、日本のがん死亡率低下に大きく貢献してきたからだ。2021年は更に受診率が低下したと考えられる。

政府、コロナ病床確保で手術の延期や中止を要請
がん死亡率増加の懸念も

重症化しにくいとされるオミクロン株蔓延でも、政府は病床確保の観点から、手術の延期や中止を医療機関に要請した。必要ながん手術の抑制は、更にがん死亡率増加につながると危惧される。2019年のがん死亡者は37万6425人だったが、その後は死者が増えると予想される。

2017年の統計によると、男女合わせて「がん」の死亡率が最も高いのは「肺がん」、2番目は「大腸がん」、3番目が「胃がん」だ。40歳以上の男女の「がん」で、死亡率を比較すると、男性は肺がんに加えて胃、大腸、肝臓などの「消化器がん」が高い。女性は40歳代の比較的若年者は「乳がん」「子宮がん」「卵巣がん」の「婦人科がん」の死亡率が高いが、高齢になると、「肺がん」に加えて胃や大腸などの「消化器がん」が増える。

がん死亡を避けるためには男性は胃や大腸の内視鏡検査、肺のレントゲン検査、特に喫煙者は肺のCT検査が肝要だ。女性は子宮がん検診、乳がん検診に加え、胃や大腸の内視鏡検査、肺のレントゲン検査が必要だ。胃や大腸がんは早期診断されれば、内視鏡的切除で治癒が可能だ。オミクロン株は変異型で重症化しにくいことは世界で証明されている。今や通常医療を重視する時期に来ている。

※「Dr.竜の診察ノート」は、NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉の竜崇正理事長が、浦安市の市民新聞「うらやす情報」に寄稿したものを発行後に編集して掲載しています。